有料配信のお知らせ ~うたまくら331号より - 正絃社

有料配信のお知らせ ~うたまくら331号より

有料配信のお知らせ

名古屋で我らのシェイクスピア
「阿吽―ハムレット奇譚―」
〜有料映像配信への変更のお知らせ〜              長谷川侑紀

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<<出 演>>
  演  劇:岡本理沙 上田定行 池戸陽平ほか
  尾張万歳:今枝社中 
  邦  楽:野村祐子 野崎 緑
  (正絃社) 伊藤洋子 佐野亜子 野村幹人 
  太  鼓:治太鼓尾張一座
  プロデュース  長谷川侑紀  
  上演台本・演出 丸蟲御膳末吉

《シェイクスピアの「ハムレット」を和風に演出した異色のコラボレーション。芝居と尾張万歳、音楽は邦楽として正絃社のオリジナル作品を芝居の場面に合わせる。》

 愛知県及び日本全体のコロナ禍は、依然として楽観を許さない状況です。
 この状況がいつ収まるのか、先の見えない中で、観客となる皆様の命の安全を守りたいという、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、この度、私たちは劇場でのリアルな上演を断念いたしました。様々な感染防止対策を行って劇場での上演に踏み切る選択もありました。
 しかし、そもそも演劇は楽しむものです。その楽しみのために、観客の皆様の命を危険にさらすというのは、本末転倒ではないかと考えたのです。そのかわりに、有料映像配信という新たな試みに挑戦いたします。
 作品を、上演するはずであった劇場において無観客公演で撮影し、編集を施して、映像作品として生まれ変わらせて配信するのです。
 なぜ、公演を中止にせず、あえて有料映像配信という形で残すことにしたか。その理由は、次のような考えによるものです。
 今回のコロナ禍は、人々の体だけでなく心をも蝕むものだということを、既に皆さんは強く実感しておられることと思います。
 人類の始まりの歴史において、同じヒト属であったネアンデルタール人は絶滅しましたが、私たちの祖先であるホモ・サピエンスは生き残りました。その理由が、ホモ・サピエンスには「思いやり」があったからだという研究報告があります。
 捕獲した獲物を、獲物が取れなかった他の者たちと分け合ったりしただけでなく、そこには対話のようなものや体の触れ合いによる慈しみの表現や愛情のかけあいがあったのではないかと、私は想像しています。そうやって「絆」を作り、お互いを支え合ってきたからこそ、ホモ・サピエンスは生き残れたのだと。
 ところが、そのような対話や触れ合いといった、人の心と心をつなぐためのリアルなコミュニケーション方法が、このコロナ禍では「避けるべきこと」になりました。
 このことに無自覚でいると、人々の心は次第に蝕まれていくのではないか、という危機感を私は感じています。
 「人の心が蝕まれていくことが、いかに彼らの運命に恐ろしい悲劇をもたらすか」
 それが、この私たちの『阿吽ーハムレット奇譚ー』がこれからの『With コロナ』時代に向けて表現することの一つです。
 私たちは「何がその心を蝕んだか?」という過去ではなく、「蝕まれた心が人々の人生にもたらすものは、何なのか」という未来を見据える方に着目しました。
 ハムレットも、叔父のクローディアスも、オフィーリアも、その兄のレアティーズも、そして亡き父王ですら、蝕まれた心によって、彼らの行動は正気を逸脱していきます。
 この悲劇をご覧になった皆様が、各々感じたこと・考えたことを、周りの方々とシェアすることで何らかの対話が始まったら、嬉しいです。
 それが、「『With コロナ』の時代をどう生き抜いていけばいいのか」「どんな新たな人間らしいコミュニケーション方法を人類は生み出せるか」といった、今、誰もが持っている疑問への答えを、皆様が自ら導き出すためのきっかけになれたらいいな、と思うのです。
 なぜなら、きっと、答えは一つではないからです。どうぞ、私たちの『阿吽ーハムレット奇譚ー』を通して、皆さんなりの感情の体験を味わい、楽しんでいただきますよう心よりお祈り申し上げます。
 なお、配信開始は2020年11月1日(日)を予定しております。配信サイトよりダウンロードしてご視聴いただくタイプです。
 また、ダウンロード環境の整っていない方のために、DVDの予約販売もいたします。
 有料配信とDVDの予約販売は、9月23日(水)より予約受付開始します。配信サイトや価格等の詳細につきましてはSNS等で告知させていただきます。
 この配信上映で、私たちの『阿吽―ハムレット奇譚―』が、よりたくさんの観客の皆様のお目に触れ、また感想などのお言葉も皆様からたくさんいただけますことを役者・スタッフ一同、心より楽しみにお待ち申し上げております。
(プロデューサー)


『阿吽―ハムレット奇譚―』が配信しているSNS関連のQRコード一覧

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