活躍の秋を振り返って ~うたまくら320号より - 正絃社

活躍の秋を振り返って ~うたまくら320号より

活躍の秋を振り返って

 
一昨年の国民文化祭あいち2016「邦楽の祭典」に続いて、奈良での国民文化祭「邦楽の祭典」が10月29日、奈良県民文化会館にて開催され、正絃社から約30名が参加し「千代の華」を演奏しました。あいにくの台風到来で大雨の天候でしたが、参加者はそれぞれに観光も楽しみながらの演奏旅行となりました。

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国民文化祭なら「邦楽の祭典」にて「千代の華」


昨年11日5日、三河湾を望むリゾートホテル「ホテル竹島」での野村峰山と峰山会員による~三河の風 波たつ響きコンサート~は、好天に恵まれて盛況に開催。「365日の紙飛行機」に始まり「南国秘話」「シャルウィダンス」「風吹く」「信濃の抒情」「夢はマーチにのって」など楽しく充実した演奏に観客は演奏を満喫。厚みのある尺八合奏で多くの方々に邦楽の素晴らしさを感じていただきました。

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「ほテル竹島」での峰山会コンサート

 

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滋賀発未来に向けての文化発信
芝居小屋「長栄座」公演
創作・邦楽舞踊劇 
「淡海の糸」
~大音の糸引きに寄せて~

 しらかわホールでのDNA公演に続いての11日12日、滋賀県立文化産業交流会館「長栄座」公演では、長浜市大音に古くから伝えられる絹糸の「糸取り」をテーマにした創作邦楽舞踊劇を発表。
前原和比古氏作の台本、演出により、長唄(杵屋浩基)、鳴物(望月太八一郎)、箏曲(野村祐子)、琵琶(細川華鶴子)の創作邦楽、日本舞踊(花柳禄春奈)と能(古橋正邦)、狂言(茂山千三郎)の共演により1時間余りの舞台が繰り広げられました。

 

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名古屋市民芸術祭2017参加
日本文化と舞 
地歌舞の会

 11日23日、愛知県芸術劇場小ホールで開催された、地歌舞・山村流師範の山村楽乃さんの地歌舞の会では、地歌「雪」を野村祐子が好演。
 野村又三郎さんによる狂言は愉快な演目、そして菊央雄司さんによる地歌「珠取海女」はドラマティックで、しっとりとした「雪」とは好対照の演目でした。

 

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やっとかめ文化祭
  芸どころまちなかご披露 

名古屋市による「やっとかめ文化祭」での演奏、ご声援ありがとうございました。

10月28日(土)ささしまライブ(愛知大学名古屋キャンパス)にて正絃社合奏団

11月5日(日)KITTE名古屋1Fアトリウムにて野崎緑社中

11月12日(日)イオンモール熱田にて正絃社合奏団+野村峰山

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ささしまライブ

 

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やっとかめ野崎

 

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やっとかめ熱田1

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やっとかめ熱田2

 

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 創造のDNA―和楽の響き
              井上 薫
 
十一月十一日、天気予報では雨でしたが、なんとか踏ん張ってくれている空を見上げながら、新幹線で名古屋へ。駅から演奏会会場の「しらかわホール」へ行く間のわくわく感はひとしおでした。客席もほぼ満席状態でした。

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入口は長蛇の列で


 さて、プログラム一番は「春景八章」。
三絃だけの賑やかな曲。心にしみ込むような音色にうっとりしている間に終わってしまいました。こんなに短い曲だったかしら?と思ってしまう程でした。

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「春景八章」


「滄溟」三絃曲の次は、尺八だけのゆったりとした曲。滄は青、溟は海の意味。広々とした海を想像しながら聴きました。

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「滄溟」


「逝く春」家元の素晴らしい箏と歌、どこか悲しい尺八の響きが相交えてどんどん胸の奥に積もっていく感じでした。

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「逝く春」


「縁」前半のしめくくり。舞台にライトが点いた瞬間、超迫力の人数です。前曲までは少人数だったので予想外でした。演奏が始まると、寂しいような懐かしいような気持ち。私もその昔、演奏会で弾かせてもらったと感傷に浸りながら聴かせてもらいました。

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「縁」


「鵬よ」コンサート後半の最初の曲は洋服でした。色とりどりの洋服がキラキラ輝いて美しい。指がもつれそうになるくらい速い曲なのに悠々と弾いて、まるで鵬が夢を運ぶようです。終わりは、腕を胸の前に斜めに上げて、鵬が大空へ飛んでいくみたいに見えました。

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「鵬よ」最後のポーズも決まって


「刀田の伽藍」イケメン尺八奏者が勢揃い。ずーんとした十七絃の厳かな響きに、五本の尺八の哀愁音が重なり感動しました。

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「刀田の伽藍」尺八5人勢揃い


「白銀の神殿」白の洋服が白銀の清潔さと神殿の神々しさにぴったり。もちろん、白銀の神殿を想像させる荘厳曲でした。

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衣装も白銀に輝く「白銀の神殿」


「千代の華」終曲。
全員が黒留袖で圧巻です。まず、衣裳と人数に圧倒されました。華やかさ、めでたさ、嬉しさをイメージで膨らませて、楽しませていただきました。

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「千代の華」


 何年かぶりに正絃社の演奏会に行きました。年齢とともに根気と情熱がなくなり、そろそろお稽古を辞めようかなと考えていましたが、この演奏会を聴いて、もう少し続けようかなと、やる気が湧いています。
ありがとうございました。
(岡山正絃社 渡谷元子門下・大師範・岡山市)

 

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~鑑賞と研修の旅~
「創造のDNA―和楽の響き」と
幹部会東北・秋の研修会
            大森幾久子
 
11月11日、名古屋のしらかわホールへ。
箏、三絃、尺八のすばらしい弾き手で構成され、どの曲も趣が違い、楽器の組み合わせも様々。葛西聖司さんの司会は心地好いお声で、楽しいお話に引き込まれました。

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名司会者の葛西聖司さん


 お元気だったころの正峰先生のレッスン等を思い出しながら、どっぷりと箏の世界に入って
とても幸せな時間を頂きました。
東北からは弘前チームが「縁」に出演。名古屋・関東チームと心をひとつになってのすばらしい演奏でした。
しらかわホールの舞台は幕がなく、出演者は演奏だけでなく出入りの姿勢にも気を配り、皆、整然ときれいな姿の演奏。観ていてとても優雅で、気持ちの良い舞台でした。

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幕のない舞台


題名の「創造のDNA」の通り、各曲を通して、正峰先生~祐子先生・峰山先生~幹人さんへと、「創造のDNA」が受け継がれているのを実感。また、野村ファミリーの団結力も実感。特に今回は、幹人さんが三絃・十七絃・尺八の三種の楽器の演奏はもちろん、作曲にも磨きをかけられ、全身から若さと自信があふれた姿を頼もしく感じました。これからの正絃社の明るい未来を感じて帰途につきました。

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三絃(縁)

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十七絃(千代の華)の演奏

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インタビューを受ける幹人

そして、東北では、そろそろ冬支度を始める11月19日、築館の「エポカ21」では、講師に祐子先生、哲子先生をお迎えした幹部会東北支部の秋の研修会。この会場は、米どころ宮城にふさわしく広々とした田園地帯に囲まれ、東北新幹線のくりこま高原駅から直ぐの交通の便が良いところにあります。
 今回は会員の参加者34名に、尺八6名を迎えての合奏会です。広いホールに箏20面、17絃4面と各自の三絃を広げ、交代で希望の曲を演奏したり、鑑賞したり…、ほとんどの人が演奏している状態でした。
 午前中には合奏し易い「乙女椿」「古都の秋」の2曲、午後からは大編成の「夏草の賦」「月の船」「羽衣抄」。
 途中で、祐子先生、哲子先生、尺八の増子絢山さんによる三重奏「流星」を鑑賞。皆、ため息が出る感動のひとときでした。
 一曲毎に、先生方からのご指導を受けた部分を練習しながら、合奏練習を数回繰り返しました。その的確なご指導で、合奏が次第に良くなっていくのを実感しました。

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祐子先生、哲子先生のご指導

 尺八の方々は休む暇もなく、全曲に参加いただき、合奏はとても有意義で、気持ちよく弾くことができました。研修会のたびに、尺八の方々にも参加していただき、大変ありがたいことと、いつも感謝しております。
 私の地元・石巻での秋の文化祭に「月の船」で出演しましたが、今回の研修会の「月の船」の30数名の大合奏は、豪華で迫力もあり、強弱もはっきりして、とても気持ちよく弾くことができました。わずか数回の練習ですが、大勢が息を合わせて合奏できるのは、これまでの研修会の積み重ねのおかげですね。
 今回のような合奏研修を通して、いつかは東北でも公演ができたらと思います。大震災以来、東北では公演の機会も途絶えており、公演未経験者も多くなってきていますので、これからの研修会には、舞台の手順や心得なども加えることができたらよいのではと思っています。
(直門・大師範・石巻市)

 

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“創造”のDNA
―和楽の響き―を聞きに
            伊藤 衣利子

 11月11日(土)伏見のしらかわホールへ、野村正峰生誕90周年“創造”のDNA―和楽の響き―の演奏会を聞きに行きました。
 どの曲も演奏が素晴らしく、完成度の高い演奏を間近に聞けたことに、とても感動しました。
オープニングの「春景八章」その名の通り三絃の音色がひらひらと舞う桜吹雪のように聞こえました。

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三姉妹揃って「春景八章」

 若手の尺八の演奏家の方々の「滄溟」。尺八の音色がこんなにも幅が広く、おもしろいと思える演奏でした。
祐子家元と峰山先生による「逝く春」は、聴いているだけで、鳥肌が立つぐらい圧倒されました。繊細な箏の音色、美しい尺八、そして透き通るような歌声。心地よい時間でうっとりしました。
 「縁」は大人数の合奏だけあって、すごい迫力でした。十七絃の独奏部分がとてもかっこよく、十七絃にもチャレンジしたくなるような演奏でした。「縁」という通り、大人数ですけれど、心がひとつになってる演奏はさすがだなと思いました。

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心一つに「縁」

「鵬よ」は、リズムがとても難しく、私は何回弾いても上手に弾けない中の一曲です。合奏部分もきれいに揃っていてダイナミックな演奏が会場中に響き渡りました。独奏パートは、すごい!!の一言につきます。本当に鵬が空に羽ばたいてる様子が目に浮かぶようでした。

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「鵬よ」手の動きも揃って

「刀田の伽藍」は大人のムードが漂う曲に感じました。十七絃と尺八だけの合奏は今まで聞いたことがなく、重厚感のある合奏でとても楽しかったです。

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迫力の十七絃


「白銀の神殿」は、とてもメロディーの綺麗な曲でした。思わず口ずさみたくなるようなメロディーで、キラキラとした音が素敵でした。
「~八千代獅子に寄せて~千代の華」は、フィナーレ曲にぴったりな華やかな舞台でした。演奏はもちろんのこと、歌声もきれいで素晴らしい演奏でした。

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華やかなフィナーレ


どの演奏もクオリティーが高く、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
正峰先生が築いてこられたものを祐子家元が大事に受け継がれ、また次の世代が受け継いでいく~これこそがDNAなのだと思いました。
正絃社の作品はどれも演奏していても聞いていても、楽しい作品ばかりです。そんな素晴らしい作品を作ってくれる先生たちに感謝しながら、またこれからも一生懸命練習していこうと思う演奏会でした。
(野崎緑門下・准師範・愛西市)

 

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都山流山形県支部
三曲合奏研修会
              小野寺ルミ           
 
「野村正峰生誕九十周年記念“創造”のDNA―和楽の響き」の翌12日、山形市総合学習センターにては、前日の演奏会でお疲れにも拘わらず駆けつけてくださった哲子先生を講師に、都山流山形県支部の三曲合奏研修会が行われました。
東北正絃社から、幹部会東北支部長の唐橋セツ子さん、古川靖子さんと私、小野寺が参加しました。

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高橋欽山先生を囲んで

二〇一三年、正峰先生三回忌の年に開催された都山流山形県支部50周年記念演奏会の折には、家元祐子先生、峰山先生がゲスト出演されていましたが、奇しくも七回忌の年に再び、山形県支部からのご要望をいただくことは、いかに正峰先生の曲が多くの方に愛されていることかを実感する、嬉しいご要望でした。
昨年早々、都山流山形県支部長、高橋欽山先生から「山形県支部研修会で野村正峰曲を学びたいので、是非、ご協力を!」とのご依頼。
重要な演奏会の翌日なのでと懸念したのですが、お家元にご相談したところ、哲子先生が遠路移動を快くお引き受けくださったのです。
高橋欽山先生は、以前に私の師匠であった大場美都莉先生が一番にご指導されたお弟子さんを、お嫁さんとして山形へ連れていかれた邦楽への意欲熱い先生です。また、高橋先生の職場である山形大学の邦楽部(米沢市と山形市)のご指導を大場先生へ依頼されていましたので、その縁からもこの度の研修会が実現する運びとなりました。

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尺八研修は交代制で

 研修曲は、「雅の調べ」「舞扇」「編曲京鹿の子娘道成寺」「篝火」「こきりこの里」「美吉野」。選曲はさすがで、どの曲を見ましても、尺八の旋律の際立つ曲ばかりです。
合奏を終えて、演奏や曲について熱心にご質問される方へ、哲子先生は的確に、懇切丁寧にご指導され、皆さま満足のご様子でした。
 現在、山形県には正絃社の会員が皆無となっていますので、この研修会を足掛かりに、山形にも正峰曲、正絃社を広めたい!と願っております。山形県へご縁のある方いらっしゃいましたら、ぜひ、お知らせください。
(直門・大師範・仙台市)

 

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関西作曲家協会作品発表会にて
 「千代の華」発表

 12月2日、恒例の標記演奏会では、野村倫子指導の新大阪教室会員を中心に、新作を発表、好評を博しました。

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関西作曲家協会にて千代の華

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関西千代楽屋 出演者の皆さん

 

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名古屋芸術大学特別講座

12月7日、名古屋芸術大学では琴の拡声についての特別講座が行われました。

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名古屋芸術大学特別講座


 大ホールでの演奏の際には、和楽器のようなナマ音に拘る楽器であっても、音量の小さい楽器はマイクで収音し、拡声することは避けられないことです。今回の特別講座では、琴の拡声について、琴に直接取り付けるピックアップマイク「YAMAHIKO」の開発者の山家清彦氏により、ピックアップマイク、拡声の仕組みが説明されました。

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琴に直接取り付けるマイク


『従来、お座敷で楽しまれていた邦楽も、現代ではホールに限らず多数の観客に楽しんでもらうためには、演奏場所の形態が変わりつつあり、電気拡声が必要となってきている。
各楽器をマイクロフォンで収音し、バランス調整し、スピーカーから放たれ、音楽として観客に届くまで、収音の空間と観客が聞く空間は同一で、様々な条件をクリアしていかなければならないことは今も昔も変わらない。
大勢の観客に音楽を拡声し提供するサウンドリフォースメント技術は、現在の音楽シーンで進歩し続けている。』
続いて、琴についての知識と演奏を野村祐子が行い、いろいろな場所で琴の演奏を収音した音を聴き比べました。
マイクを取り付ける場所で音色の質が変わることが実証され、より良い音色を観客に届けるための意見交換がなされ、有意義な講座でした。

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楽器の説明

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収音のためにマイクに囲まれた野村祐子

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