お便り特集・コロナウイルスのなかで ~うたまくら330号より  - 正絃社

お便り特集・コロナウイルスのなかで ~うたまくら330号より

お便り特集・コロナウイルスのなかで

『正絃社の先生たち、凄すぎます!』

 あれよあれよで2月の末に安倍首相の会見となり、学校の臨時休校が要請され、それがそのまま長引き、卒業式も入学式もできないままになってしまいました。
 大学生の邦楽部などの卒業演奏会が中止になったり、ライブ配信されたり、その他のイベントも次々と自粛される中、正絃社の先生たちが、卒業式・入学式を迎えられた方々に向けて『晴れの日に』の演奏をネット配信してくださいました。
 胸が熱くなり涙がこぼれてきました。
 その後も『ふるさと民謡浪漫』『大河』『空と海と太陽と』『日本の四季』『篝火』『編曲長唄越後獅子』など次々と配信し、視聴する皆さんを元気づけ、なごませてくださいました。
 普段からノリのいい倫子先生を筆頭に、本部の先生、祐子先生、そしてナント、峰山先生までもが!
 大きな被り物で演奏されていて、目が回らないんだろうか、肩が凝らないんだろうか、酸欠にならないんだろうか、などと色々な思いが私の頭の中をよぎるのでした。

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「大河」

 感染予防対策は万全で、常にマスクと尺八の参加の時にはシールド張りのパイプハンガーが設置され、それに気付いた時はなんだか妙に感激しました。他にも小道具や怪しい動きなども満載で、本当に、観たり聴いたりする側の人たちを、こんな時だからこそ楽しませてくれるお姿に、エンターテインメントとしての姿勢、パフォーマンスを感じました。
 本部配信とともに、哲子先生も東京から動画を配信してくださり、倫子先生のお一人でのパフォーマンス演奏も楽しませていただきました。
 正絃社の先生たち、凄すぎます!
 また、祐子先生は早くから手造りハンカチマスクの作り方を教えてくださり、たくさんのマスク姿もご披露してくださいました。それがまたとっても可愛くチャーミングでした。それに「三絃の豆知識」も楽しかったです。

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目黒から哲子補佐の合奏用ビデオ

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「三絃の豆知識」

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「バチのいろいろ」

 5月26日の全県緊急事態宣言解除で、配信は終了されましたが、それは正直なところ、ちょっと、いえ、かなり残念でした。
それでも、
「自主練習の参考にしてください。」とか、
「合奏してみてください。」と、
 私たち弟子たちのことを、いつも想ってくださる優しさと寛容なお気持ちに触れ、箏や三絃へのあこがれがより強められたことは、きっと私だけではないでしょう。
 先生方、本当にありがとうございました。
 感謝と敬意でいっぱいです。
 明日から6月。小中学校の入学式がいよいよ行われます。今一度『晴れの日に』を視聴したいと思います。このまま、いい方にみんなで向かっていけるよう、心よりお祈りいたします。(宮城県 しげ)

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「晴れの日に」

『晴れの日の感動』 

 皆さま、コロナの中、外出は控えてステイしていらっしゃいましたか? 私は真面目にほとんど家の中でおとなしくしておりました。
 そんな中、唯一、おしゃれしてお出かけした日が一日だけあります。
 それは三月十九日、家元祐子先生の《愛知県芸術文化選奨受賞式》です。
 このような晴れの日に一緒に参列させていただける事となり、とても楽しみにしておりました。しかし、コロナの騒ぎが始まり、いったいどうなることかと…。三月十二日には愛知県で三十四名の感染者があり、死者も増えておりました。この頃はむしろ、東京より愛知の方が厳しい頃だったと思います。
 とにかく愛知県はこのさなか、式を行うのかどうか、それが不安でした。急に取りやめのラインが来るのではと思いつつ、美容院の手配をし、着物や草履を出し、手抜かりなきよう準備すると共に、日々コロナ情報の収集。
 前日までそわそわし、当日さえ、「まさか行ってみたら中止だった」ということが起こりはせぬかと気を揉んでおりました。
 そんな中、美容院からも電話があり、ビルの営業時間が短縮されてしまったので、予約の私だけ駐車場横のガードマンがいる裏口から入るようにと言われ、今までにない思いをして美容院にはいりました。他の客も少なく、サッサと髪も着付けも終了し、余裕でイチゴパンケーキまで食べる時間ができました。
今まで着物で外出といえば、演奏会か新年会。のんびりパンケーキなんてこともなかったので、嬉しくて写メまでとって、満喫させていただきました。
 式は県庁ですから、流石に初めは緊張しておりました。受賞式では、ぜひ祐子先生のお姿を写真におさめたくて、まるで運動会で撮影ポイントの場所取りする親の様に、あちこち席の物色。緊張しながらもなんかウキウキでした。
 しかし開始が遅い。多分、知事待ちでした。
コロナ対策もあってお忙しいでしょうが、やっと拝見できたお姿は、マスクも無くサッサと着席。数か月経った今思えば、あの頃のコロナ対策は、まだまだ「いい加減」でしたね。

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無事に開催された授賞式に着物で出席し大村知事さんと記念写真撮影

 その後は受賞者の玉屋庄兵衛さんの《からくり人形》を見せていただき、カルチャーショック。お人形さんが左手に紙を持ち、口にくわえた筆と、右手の筆で同時に松と竹をそれぞれ漢字で書く! もう、びっくりです。そもそも私など、口でお習字できませんから。しかし、この間も今思えば、密の密状態でしたが、楽しく拝見させていただきました。
 当日お聞きしたのですが、峰山先生も東京で大変な賞を受賞されたとか。しかし式も無く、賞状も郵送だったようで、残念な思いですが、祐子先生の方だけでも、誰も感染者もなく楽しく式を執り行うことができ、ありがたかったです。楽しい一日でしたが、あれがコロナ前の最後の華やかな一日でした。  (幹部会幹事A)

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『コロナとお琴』

 気持ちの良い風が吹く、新緑の遊歩道を散歩してきました。すれ違う人もいないので 久しぶりにマスクを外し、大きく深呼吸。でもマスクは日焼け止めにもなりそうだから、やっぱり着けようかな…。
 こんなに気持ちが穏やかになったのは お琴のおかげです。
 4月初め、お弟子さんたちのお稽古は5月中旬までお休みにしました。
 三食きちんと食べ、よく寝て、出かける時にはマスクを、そしてしっかり手を洗う。
 でも、怖い、コロナが怖い、かかったらどうしよう…、岡江さんみたいになったらどうしよう…、お琴を弾く気もまるで起きない…、鬱々とした日を過ごしていました。
 でも、お稽古仲間のお友達が、
「ブログに合奏できる動画がアップされてるよ、とっても楽しいよ。」
と、知らせてくれました。鑑賞するだけでなく 祐子先生、倫子先生、峰山先生と家で合奏ができる、これはすごい!
 パソコンを前に置き、久しぶりに「愛と祈りの調べ」を弾きました。心に沁みるなあ、楽しい、やっぱりお琴が好きだなあ、とお琴の前に座る日常が戻りました。オンラインでの哲子先生のお稽古に参加したり、すごい時代になった
と感じています。

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人気の高い「華舞歳々」

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合奏できるように第1箏抜きです

 私たちがお稽古ができない状況であっても、お琴に触れる、そして楽しめるように考えてくださるお気持ちに、ただただ、感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。
 お琴という趣味を持っていてよかった、何より正絃社の一員で良かった、と改めて思っています。
 緊急事態宣言も解除され、教室でのお稽古も再開しています。お弟子さんが「お琴を弾くのは楽しい」と思えるお稽古にしていきたいです。
 まだまだ油断できない状況ですが 恐れすぎず、当たり前の感染予防はしっかりやって、元気にお琴を弾きたいです。  (福島県・K)

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『ビデオありがとうございました』

 こんにちは。いつもお世話になりありがとうございます。緊急事態宣言中、幾度となくたくさんの曲を配信していただき有難うございました。家にいる時間はたっぷりあるものの、なかなか集中してお稽古の時間がとれず、送っていただいた沢山の曲に追いつきませんが、これからもこれで勉強させて頂きたいと思います。

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「編曲長唄越後獅子」

 今年の夏、滋賀県三曲協会も水野利彦先生に講習会をお願いしていまして倫子先生、幹人先生にもお世話になる予定でしたが、それも中止になり残念です。また改めてこのような機会があると思いますのでよろしくお伝えください。今後も予定がつかず不安な毎日ですが、一日も早く元の生活が戻ってくる事を願っています。ありがとうございました。   (滋賀県O)

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『我が家のコロナ対策』

 いつもお箏の演奏動画をお送りいただきありがとうございました。勉強させていただいております。
我が家のコロナ対策ですが、4月、5月のお稽古は、全てお休みしておりました。自粛生活で退屈な日々を過ごしており、体が鈍ってしまいますので、毎日、テレビ体操したり、お箏は、なかなか日ごろできない曲や指の運動兼ねて、速い曲に挑戦したりして過ごしていました。
 6月に入り、やっと自粛生活から解放され、お稽古も再開することにしました。
 しかし、まだまだ生活を、完全に緩めることはできません。
 教室では、お家元から送っていただいた動画を参考に、多機能ハンガーに透明なアクリル板を張り、お互い向かい合っても安心してお稽古ができるよう、間隔を空けました。
 そしてマスク、除菌スプレー、換気には充分気をつけたいと思っております。早い終息を祈るばかりです。      (岐阜市・匿名)

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アクリル板を張ったハンガーラックを設置の稽古場

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『今できること』

 早いもので、もう7月。今年も半分終わってしまいます。
昨年5月、平成から令和に代わり新しい時代が幕を開け、今年は東京オリンピックYEAR。日本中オリンピックムードで一年が始まったような気がします。
 しかし、年が明けてみると、昨年12月に中国武漢から端を発した新型コロナウイルスは、あっという間に欧米諸国を飲み込み、対岸の火事…、と思っていたのもつかの間、日本国内でも感染者が後を絶たず…。東北大震災の傷跡も薄れつつある東北、仙台でも1人、2人…、日々刻々と感染者が増えるにつれ、非日常が忍び寄るのを感じずにはいられませんでした。
 3月末に予定されていた研修会、個人レッスンは、2月末に中止を決定。感染終息の希望を抱きつつ状況を見守っていましたが、7月の合宿も中止…、いろんなイベントが中止となりました。
 そして、5月4日の「日本三曲協会定期演奏会」も中止。この日のためにと暗譜した「春の歳時記」でしたが、中止のお知らせを聴くや否や、心の糸が切れてしまったようで、必死に暗譜したはずなのに、あっという間に白紙に戻ってしまいました(覚えるのには時間がかかるのに、忘れるのは早い(笑))。
 私は、自宅から歩いて7分、自転車で3分、テレワークやリモートワークなどとは全く縁遠い、病院併設の介護老人保健施設で請求業務をしています(入所者百名、通所リハビリ1日定員40名)。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が解除になった現在(6月上旬)も面会制限中。ご家族様ともエレベーター前で透明クロスのパーテーションをはさんでの面会、寝たきりの方はタブレットを使っての面会対応をおこなっています。
 面会禁止前は、生け花やクラリネット演奏等のボランティアの方々が、定期的に訪問に来てくださり、ご利用者様の楽しみとなっていましたが、まだ外部ボランティアの受け入れができないため、フロアに集まり、体操をしたり、ユーチューブから流れる懐メロを聴いて過ごす日々の繰り返しです。
 以前から諸先輩方にお手伝いいただき、自施設をはじめ同法人施設、同グループ施設へ出向き、新年会、おひな祭りなどでお箏を演奏していました。
いつも諸先輩方のカゲに潜んでコッソリ弾いていましたが、懸崖撒手(けんがいさっしゅ:勇気をふるい、思いきって何かをすること)! お箏を一面、施設に持ち込み、仕事の合間に30分と決めて「館内出稼ぎ演奏」をすることにしました。
 まずは、事務室のある7階から。お箏を広げると自然とご利用者様が集まり、
「あんだ、自分よりおっきなの持って…」
「あらぁ、お箏だっちゃ」
「高いんでしょぉ」と…。
 琴柱を立ててチューニングを始めると
「きれいな音ねぇ」
「いいねぇ」と。
 おやつの時間のBGMのつもりで弾こうと思っていたのに、いつの間にか目の前にズラリと並ばれてしまいちょっと緊張。ご利用者様の知っている曲を弾こうとメロディ集や小曲集を持参し「春の小川」「おぼろ月夜」など数曲演奏しました。
 前奏を弾きながら、「この曲分かるかなぁ」とご利用者様を見渡し、メロディに入るとちらほらと小さな歌声が聞こえ始め、曲が進むにつれみんなで合唱になりました。
 楽譜をめくり次の曲が始まると、
「次は何を弾くの?」
という感じで耳を澄まして聴いてくださりました。通所リハビリでは、
「さくらさくら弾いて」
「荒城の月弾いて」
と、リクエストが上がり、生憎楽譜を持っていなかったのでしたが、
「こんなだったかな?!」
と即興で間違いながら弾きました。  
 それでも、
「やっぱり生はいいねぇ」
「また弾きに来てね」
と、言っていただきました。ご利用者様の中には、認知症の方や言語に障害のある方がいます。でも覚えているし、なんとなく口ずさみ歌えるんです。昔歌ったこと、聴いたこと残っているのです。笑顔もみられます。改めて音楽って「すごいなぁ」「いいなぁ」と思う瞬間です。
 色々な面で制限があり、マンネリ化しつつある施設生活を送られているご利用者様に、今私にできることってなんだろう…と、ふと考えたときに、ちょっとおこがましいようですが、
「お箏を弾いて、一緒に歌ってもらうことかなぁ!」
と思いました。拙い演奏ですが、ご利用者様の歌声に助けられながら演奏しています。そして、東北支部の役員として今、これからできること…なすべきことは…、「新しい日常」「ソーシャルディスタンス」などを踏まえて、安心・安全に研修会等を開催するにはどうしたら良いのか、支部長や役員と連携を図り、活動再開までに検討すること…でしょうか…。
 東北支部では、9月6日に研修会(ミニコンサートを目標でした)を予定しています。開催を前提に内容を検討してまいります。
 緊急事態宣言が解除になり気持ちが緩み、これまでの自粛による成果が薄れ、第2波、第3波という新たな波が襲ってくると思われます。「ウィズcorona」の時代とも言われています。ワクチン、治療薬の開発などによって、一日も早い終息、以前のように安心・安全に過ごせる日々が戻ることを切に願っております。
 そして、お家元Family、皆様と楽しく素敵に演奏できる日々が早く来ますように!
 皆様、その日までお身体ご自愛ください。
追伸:緊急事態宣言が発令され、研修会等も中止となる中、毎週、合奏の動画をアップしてくださった、お家元Family、本部の方々、本当にありがとうございました。コスプレなど楽しく拝見、拝聴することができました。
 (東北支部役員・O)

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