近刊紹介 ~うたまくら337号より - 正絃社

近刊紹介 ~うたまくら337号より

近刊紹介

明治松竹梅   菊塚検校作曲

〇「明治松竹梅」(1902)は、箏曲における明治新曲運動の代表的作曲家の一人、菊塚与一検校の作曲で、歌詞は「歌御会始」の勅題「松上鶴」「雪中竹」「新年梅」に詠まれた御歌七首が年代順に並べられて松竹梅となっている。
 箏本手の調絃はオルゴールからヒントを得たオランダ調子の変形(明梅調子とも)で、独特の響きが特色となっている。               


風の音は 静まりはてて 千代呼ばふ 
 田鶴が音高し 峰の松原    (明治天皇)

栄えゆく 御園生の松に 雛鶴の
 千代の初めの 声を聞かばや  (昭憲皇太后)

この上に 幾重ふりそふ 雪ならむ 
 たかむら高く 成りまさりつつ (明治天皇)

立ちかへる 年の旭に 梅の花 
 かほり初めたり 雪間ながらに (明治天皇)

大君の 千代田の宮の 梅の花
 げにほころびぬ 年の始に   (昭憲皇太后) 

新玉の 年の始に 梅の花 
 見る我さへに ほほ笑まれつつ (大正天皇)

新しき 年の祝ぎごと 言ひかはす
 袖にもかほる 梅の初花    (貞明皇后)

このページのTOPへ