幻想曲 千 鳥 - 正絃社

幻想曲 千 鳥

【2012年2月 作曲 野村祐子】 

 箏曲と言えば多くのかたが、「六段の調べ」「千鳥の曲」「春の海」を思い浮かべることでしょう。
 愛知県から出て幕末に活躍した吉沢検校は、平家琵琶、尺八、胡弓のほか、国学、和歌、漢学などに通じ、雅楽からも学んで、三絃地歌から離れた箏曲復古の作品を創り、「名古屋派」と呼ばれる芸風を中京の地に残した箏曲の名人です。
 なかでも「千鳥の曲」は、格調高い和歌に、雅楽から古今調子を工夫し、手事は波や千鳥の情景を表現して、組歌や手事物形式など古来の奏法を土台にしながら、新しさを求めた吉沢検校の苦心の跡が偲ばれる名作です。
 各パートに千鳥の手事のフレーズを配し、尺八、十七絃の独奏には千鳥が波と戯れる情景、後半では箏の独奏と合奏群の掛け合いが聞かせどころ、終章は「千鳥の曲」の前弾きを厚みのある合奏で再現しました。
 華やかな合奏の「千鳥の曲」をお楽しみいただけましたら幸いに存じます。

編成 箏高低2部・十七絃・尺八2部

 

 

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