うたまくら - 正絃社

【346号】うたまくら 野村峰山 紫綬褒章受章

野村峰山 紫綬褒章受章     野 村 祐 子

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 このたび思いがけなくも、野村峰山が紫綬褒章受章の栄誉に浴することになり、5月13日、ホテルニューオータニ東京での受章伝達式の後、皇居にての天皇陛下拝謁の儀に参列してまいりました。
 各界からの大勢の勲章・褒章受章者が一堂に会した伝達式の開会は、まず国家の斉唱。そして粛々としたなかで代表者に勲章・褒章が授与され、東京芸術大学の学生(洋楽)による祝賀曲が奏されました。
 

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勲章・褒章伝達式会場にて

 続いて文部科学副大臣からお祝いの言葉が述べられ、勲章・褒章受章者代表から御礼のご挨拶。閉式まで30分弱ほどの時間ですが緊張のひとときでした。その後、それぞれ勲章・褒章を胸元に着用した受章者と付添の五百余名は、グループに分かれて皇居へのバスに順次、乗車していきます。紫綬褒章受章者のバスはほぼ最終のグループで15台目。乗車案内までかなり時間があり、受章者同士の名刺交換や、同じく紫綬褒章を受章された俳優の原田美枝子さん(特別の蚕から取った絹糸で織られた上品な自然色のお着物をお召しでした)、段田安則さんとのツーショットで慶びのひとときを過ごしました。

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伝達式を待つ大勢の受章者

  
 空模様はあいにくの雨で、皇居までの道路事情もスムーズではありません。また、他の会場でも伝達式が行われており、同時に皇居での拝謁に向かうため皇居の駐車場は大混雑。降車の順番を待ってバスの中でどれほど待ったのでしょうか、ようやく入館の指示が出ました。
 皇居内では写真撮影は禁止されていますので、受章者記念写真以外、何もありませんが、初めて足を踏み入れる皇居、これも緊張の体験です。バスを降りると儀礼服に身を包んだ宮内庁の係員の誘導で、豊明殿へ案内されました。千人も入る大広間でしょうか、シャンデリアが輝く天井なのに和の雰囲気の会場です。
 受章者は前列へ、付添のメンバーは後列へと案内されて椅子に座りました。内閣府から、消防局から、国会議員の方々など大勢の参列者で椅子が埋められていきました。
 ようやく参列者が揃ったのでしょうか、侍従長らしき方が進み出て、これからの拝謁についての注意事項などを述べられ、参列者一同の緊張が高まります。
 そしていよいよ天皇陛下のお出ましです。
 拝殿左奥の扉がガラガラと開かれ、陛下がゆっくりと壇上へ進まれました。にこやかに中央の演台の前にお立ちになられると、参列者は一同起立して拝礼。陛下のお言葉を一言一句聞き逃さないように静かに聞き入ります。
 その後、壇上の反対側へと降りられた陛下は、数名の受章者と直にお話しされて入場された側の扉の方へ向かわれ、一同で退出されるお姿を見送りました。
 そして順次、ご列席の国会議員の方々から退出、受章者は記念写真の場所へと移動。写真撮影もグループに分けられ、控えの間に進むまでも長い待ち時間ですが、皆さん口を揃えて、
「二度と見ることはない景色だからじっくりと見ようね。」
などと中庭の向こう側の正殿を眺めたり、受章者同士、お互いの紹介などで和気藹々の時間。ようやく写真撮影の順番が回ってきますと、あっという間に撮影終了、手際のよい撮影班の誘導でした。

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皇居送迎バスに乗り込む野村峰山

 皇居から退出してバスに乗車、伝達式会場のホテルに戻って解散。ホテルからタクシーで移動しようと乗り場へ行きますと、雨天のため長蛇の列。着物で外に出歩くのも躊躇われるので並んでタクシーを待ちましたが、原田美枝子さんもご一緒に並ばれたので、大女優さんと近しいひとときのおしゃべり、めったにない経験、夢の一日でした。
 野村峰山のこのたびの栄えある受章に、さらに一層の芸の精進と斯道の発展に尽くすべく、誓いを心新たにしておりますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、野村峰山におきましては、今秋9月21日(土)開軒50周年記念のコンサートを東京銀座王子ホールにて開催の準備を進めております。お時間を許される方がございましたら、ぜひとも、ご来場をお待ちしております。

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