弥勒 - 正絃社

弥勒

【1975年 野村正峰作曲】

仏教の経典の中には多くの仏や菩薩が現れます。なかでも広く人気のある、京都・太秦の広隆寺の半伽思惟の姿の弥勒菩薩像は、その姿の美しさ、貴さ、完全さに打たれ、信仰心のない人でも思わず手を合わせるほどの魅力があります。
弥勒は、56億7千万年の未来、人類滅亡の時に復活して、釈迦によっても救い得なかった人々の魂を救済すると説かれています。仏教は、東洋人の思想や文化に大きな影響を与えてきましたが、弥勒菩薩説話は人類救済ヘの大発願であり、その雄渾壮大な経典のスケールに深く感動させられます。

第1楽章 永劫(えいごう)  56億7千万年の永劫の時の流れを、尺八の虚無僧本曲風のイントロと八小節の弥勒のテーマを、さまざまに変形させてえがいてみました。
第2楽章 沈倫(ほろび)  太陽が次第に冷え、いつか訪れる地球滅亡の日。尺八の不協和音の三重奏に笙を加えて、沈倫の日を想像してみました。
第3楽章 渇仰(かつごう)  永劫の時を待つまでもなく、人類の魂は常に救世主、弥勒の復活を期待して祈ります。

オン マイトレイヤ ソワカ  弥勒の真言を7拍子のリズムで繰り返し唱えるかのごとく、切々とした祈りをこめる終章です。

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