河童百態 - 正絃社

河童百態

【1988年 野村正峰作曲】

近世地歌で「作もの」と分類される、滑稽味のある、おどけた内容の作品群は、公式の演奏のためではなく、検校たちの遊びや即興的な座興で作られたようです。
動物を凝人化して面白い物語をつくり、三絃の特殊な奏法で、動物の所作や鳴き声などの擬音を表現しています。

この「作もの」の遊び心に誘われ、架空動物の「河童」の幾つかの生態を描いてみようと意図しました。
曲の編成は、三絃2部で作曲しましたが、のちの要望により尺八の手付けも加えています。
1.河童登場…河童は沼、川岸などに棲息するということになっています。 大きさは十才の児童ぐらい。頭に皿のような鉢型がついていて、ここの水が無くなると、弱ってしまうということになっています。まずは、澄ました表情でしゃなりしゃなりと登場する河童どのをご想像ください。
2.いたずら河重…河童は人間を水中に引っ張り込んで、その尻子玉を抜くとか。さて尻子玉とは何んのことか判りませんが、とにかく人間を見るといたずらがしたくなるようです。いたずらなんて「屁の河童」というわけなのです。
3.酔いどれ河重…漫画に出てくる河童はお酒も呑むようです。河童の酔っ払いも人間によく似ていることにして、危なっかしい足取りで、水辺を漫歩する姿を想像してみました。
4.河童の川流れ…河童は水に棲む動物ですから、当然のように水練は達者のはず。それが、どういうはずみか急流に呑まれて、川に流されてしまうことがあるというから面白い。

これを「河童の川流れ」といい、油断大敵の戒めとしたものです。

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