秋の歳時記 - 正絃社

秋の歳時記

【1984年 野村正峰作曲】

最も秋らしく感じる行事三題を選び、おのおの独立した楽章として描いてみました。

1.菊人形
城下町の多い日本では、お城の広場や史跡の公園などで菊人形展が開かれます。名俳優が大見得を切る場面や、その土地に関わる英雄や偉人などが、色とりどりの菊花で美しく飾りつけられます。  雲一つない秋晴れの空の下で、人形たちが義太夫三味線の響きにのって、今にも踊り出すような感じをあらわしてみました。
2.お月見
旧暦八月十五夜は月の一番美しい夜、日本古来の風習で、月にお供え物をしたり、親しい者同志の月見の宴を開いたりします。目に見えぬ秋風にすすきの穂がそよぎ、草の根にすだく虫の音が興趣をそえます。  月の出を心待ちにする人々の、静かなさざめきのとき…月にむら雲とは生憎の、雲ひとつない月夜ばかりではなく、時には薄気味悪い雲が、月を見え隠れさせます。しかし、雲の絶え間から時おり見える月を待つのもまた一興と言えましょう。
3.豊年祭
みのりの秋、五穀豊饒を感謝し、来る年来る年の豊年を祈る祭りは農村のイベントでしょうか。

旋転するアップテンポの笛の遠音、狂瀾する大太鼓のリズムに交じるお国自慢のハリのある民謡、素朴な村祭りの情景を描いてみました。

このページのTOPへ