トピックス - 正絃社

各地の活躍 ~うたまくら336号より

各地の活躍

 

 公益社団法人 日本三曲協会定期公演

 秋季三曲名流演奏会

 コロナ禍のため、一昨年秋、昨春と連続の中止となった日本三曲協会定期演奏会でしたが、昨秋10月24日(日)、ようやく開催に漕ぎつき国立劇場にて、正絃社からは関東方面の幹部会員を中心とした20余名で「縁(えにし)」を演奏しました。

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日本三曲名流演奏会 「縁」

 事前練習は、それぞれリモートレッスンも駆使してのお稽古で、演奏会前日に初めて全員が顔を合わせました。予想外の衆議院選挙のため、予定していた練習会場が使えなくなりましたが、全員が急遽の会場変更にも迷うことなく対応。
 当日はコロナ対策もあり、複数の社中が共有する楽屋のため利用時間が限られているので、短時間での楽器準備にも出演者一丸となって協力し、慌ただしくも落ち着いて舞台に着席しました。
 国立劇場の会場受付でも厳しいコロナ感染対策が取られていましたが、演目の進行では通常は幕間に紹介される曲目解説も、コロナ感染防止対策のためアナウンスなし。知った人に出会ってお喋りを始めると、すぐさま会場係員が注意に来られますので客席も黙々として鑑賞しています。プログラムには曲目の解説がないので、演奏だけで作曲の思いを客席に伝えることができるかどうか心細くもありましたが、正絃社の絆で結ばれた「縁」は心ひとつに、コロナ禍で打ちひしがれた一年以上の苦渋の思いを吹き払う合奏ができました。
 苦楽をともにする仲間がいることは嬉しいことと実感し、再会を期してそれぞれ帰途につきました。

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出演者一同

 

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~宗次ホール スイーツタイムコンサート~
もういちど京都、行こう。写真deクラシック出演記 佐野 亜子

 昨年11月9日、宗次ホールにての表題のスイーツタイムコンサートでは、正絃社合奏団にスペシャルゲストをお迎えして出演いたしました。

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正絃社合奏団

 今回の企画は、「もういちど京都、行こう。」をテーマに、事前に募集された風景写真をスクリーンに映して、舞台では邦楽の演奏というコラボレーションです。
 演奏者は祐子家元、鈴川悦代・岩瀬直子・正絃社合奏団、ヴァイオリンに吉岡秀和氏。尺八には野村峰山先生、野村幹人先生。

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右より峰山・吉岡・幹人各氏

 一年ぶりになる宗次ホールでのコンサートです。コロナ禍での開催にあたっては、出演1週間前からの検温・体調報告書提出、入口での手及び履物裏の消毒など、厳重な感染防止対策が施されていましたが、ホールの職員の方々の手馴れた対応でスムーズに入館できました。
 このところ、感染者数も少なく緩和ムードになっているので、多くのお客様にご来場いただくことができ、感謝と御礼を申し上げます。

 さて、プログラムは、

一、「都踊」(大和田建樹作詞・宮城道雄作曲)京都の都踊を題材に、低音箏、高音筝、三絃、尺八で編成された華やかな合奏曲。
 舞台上段には天井から大きなスクリーンが吊るされ、綺麗な舞妓さん芸妓さんの写真が映し出されてオープニング曲を飾りました。
 実は当日、開演時にはお天気になっていましたが、朝は雨天で会場は湿気を帯び、そのためか三絃の糸が次々と切れる事態。リハーサル中には驚くほど三絃の糸が切れて心配になりました。予備の三絃も準備しましたが、本番演奏中に糸が切れたらどうしよう、と不安の心持ち。皆で力を合わせれば大丈夫、と自分に言い聞かせて舞台に向かいました。
 ところで今回のコンサートの選曲には「歌もの」が多く、この機会にこそと、私たちは夏にボイストレーニングを受講。その成果か(?)自分では以前に比べると高音域が出やすくなり、発声も喉の力が少し抜けるようになってきたように感じ、以前に比べて歌うことが楽しくなってきました。

二、「六段の調べ」八橋検校作曲
 箏とヴァイオリンによる六段の調べ。
 明治時代には箏とヴァイオリンとの合奏がなされていたそうですが、斬新な時代だったのですね。以前に野村峰山先生率いる峰山会の演奏会では、都山流創始者の中尾都山先生が作られたヴァイオリン譜で箏・尺八との合奏をされたとお聞きしましたが、このような演奏を耳にすることがなかった私には、とても新鮮な機会でした。

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写真をバックに箏とヴァイオリンの「六段の調べ」

三、「嵯峨の秋」菊末検校作曲
 明治初期の作品。平家物語の小督(こごう)を題材に、秋の月の明るい晩に、高倉天皇の命により源仲国が、もの寂しい嵯峨野へ小督の局を訪ねる場面を歌う。
 この曲に共演する竹内裕美さんと竹内麻絵さんは合奏団の先輩であり、また一緒に滋賀県の邦楽専門実演家養成所に通った同期の仲間でもあるのですが、ただ今、お二人とも3才男児を持つママさん。子育て真っ盛りの多忙な中にも拘わらず、今回のコンサートに向けて一緒にお稽古をすることができました。勉強のひとときはとても楽しく、そして何より一緒に出演できて嬉しかったです。

四、「秋の彩」野村峰山作曲
 京都、嵐山の風景に心惹かれた作者により、しだいに色濃く変わりゆく「京の秋」を題材に、尺八三重奏曲として作曲されたもの。 
 3連音符で飾られたロマンティックな旋律は、西洋風なメロディから、次第に日本の音階へと移り、深まりゆく秋の景色を描きます。
 今回は、尺八2部とヴァイオリンでの合奏で、尺八の音色と響和するヴァイオリンの音色に新たな発見を感じました。

五、「御茶紀行」舞林紋呂作詞、野村祐子作曲
 茶所・京都に因み、お茶の歴史や効能、名茶の数々を歌う愉快な舞林紋呂(マイリン・モンローと読む)作詞による曲。
 私たち合奏団のメンバーも何度も演奏させていただいている曲ですが、本番2日前のお稽古でなんと急遽、歌、演奏ともソロ部分が分担され・・・、「たぁいへ〜ん」と、言っていたメンバーも本番はしっかりと大きな声で歌い、舞台袖で聞いていて感心しました。

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和気藹々の練習

六、「秋の歳時記」野村正峰作曲
 箏2部、十七絃、三絃、尺八、ヴァイオリンでの合奏。
 最後の演目にして、今回のコンサートで初めて十七絃の登場。そして尺八パートは、ヴァイオリンとの共演に特別にアレンジし、尺八とヴァイオリンの音色の対比のため、両者は舞台の両端に別れて演奏。
「秋の歳時記」を聴きなれたかたでも、ヴァイオリンが加わる面白さを味わっていただく試みです。ヴァイ オリンの音色がノスタルジックな雰囲気を漂わせ、どこか懐かしい日本の風景を思い浮かべる大合奏となりました。
 先日、幹部会で行われた合奏会の研修曲、に折よく「秋の歳時記」がありましたので、自分のパート以外も練習でき、このコンサートでは余裕をもって合奏することができました。勉強の機会に恵まれて幸運でした。

アンコールは「紅葉」
 宗次ホールでは必ずアンコール曲を用意しておく決まりで、今回は時節柄「紅葉」が今回の編成用にアレンジされました。
 冒頭は、尺八とヴァイオリンのうっとりするような掛け合い。続いて第一箏、第二箏、十七絃、三絃が主旋律を代る代る奏でます。
 コロナがなければ、客様と大合唱したいところですが・・・、心の中で歌っていただきました。
 そして客席の皆様からは、ずいぶん長い間(のように感じた)拍手を頂戴しました。客席の雰囲気が私たち演奏者側にも伝わってきました。
 このコンサート1時間30分の間、私たちの演奏を共有してくださった客席の皆様への感謝の思いが胸に溢れました。
 音楽専用として設計された宗次ホールは、当然のことながら音響がよく、演奏者にとっても気持ちよく演奏できる会場です。事前の練習ではなお一層の緊張感をもって合奏するのですが、企画の面でも、毎回のテーマやコラボレーションなどにホール側からの提案もあり、楽しく良い勉強をさせていただいています。
 この経験を次に活かせるよう、一段と高いレベルを目指してお稽古に励んでまいりますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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関西邦楽作曲家協会作品発表会

 令和3年12月4日(土)関西邦楽作曲家協会では、朝日生命ホール(大阪)での作品発表会にて次の10曲の発表を行いました。
①韓国ファンタジー(砂崎知子)、②旅人・芭蕉に魅せられて(狩谷春樹)、③挽歌(酒井雅邦)、④想々(小石敦夫)、⑤古道成寺(箏・尺八手付)(吉田興三郎)、⑥組曲 奈良をうたう(菊重精峰)、⑦玄武—往来(狩谷春樹)、➇花時計(砂崎知子)、⑨淀川(吉田興三郎)、⑩編曲長唄元禄花見踊(野村祐子)
 コロナ禍のために昨年は開催できませんでしたので、2年ぶりの再会の喜びと舞台演奏の楽しさを味わうことができました。

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「編曲長唄元禄花見踊」に出演の名古屋・関西合同メンバー

 

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心のかようコンサートをめざして  小 林 幸 子

 昨年12月4日、国際障害者週間(12月3日~9日)のイベントで近隣の障害者福祉センターにて箏曲コンサートが開催され、社中で2回目の出演となりました。
 私事ですが昨年1月に右手首を骨折したため、翌2月のコンサートではお弟子さんのみ3名の出演、今回はお弟子さん4名と一緒に私も出演、全7曲を無事に演奏することが出来ました。

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小林幸子さん(中央)とお弟子さんたち

 「出来ない」と絶対に言わないがんばり屋のTさん、本番に実力を発揮するSさん、何時も楽器の運搬を手伝ってくれる見た目も心根も優しいM君、一番お稽古年数が浅いけれどしっかりした演奏力のあるHさん。素晴らしいお弟子さんたちに支えられて、正絃社の素敵な曲を演奏出来たことを心から嬉しく思っております。
 これからも心を一つにして良い演奏を多くの方々に聴いていただけますよう、共に精進していきたいと思います。
(仙台市・大師範・林映子門下)

 

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名古屋市文化振興事業団
「子どもアートピア2021」アトリウムパフォーマンス

 令和3年12月18~19日(日)、名古屋市の中心地・栄のナディアパーク・青少年文化センターでは、2階のアトリウムステージにて「子どもアートピア2021・アトリウムパフォーマンス」が開催され、野村祐子と正絃社合奏団、野村幹人が「日本の四季」「クリスマスソング・メドレー」を演奏しました。多くの方が足を止めて耳を傾けてくださいました。

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