各地の活躍 Vol.1 ~うたまくら348号より
各地の活躍
都山流開軒50周年記念コンサート
野村峰山~私が学んだもの~
残暑も収まらぬ昨年9月21日、東京・銀座の王子ホールにて開催の表記コンサートでは絃方特別出演に宮城宗家・牧瀬裕理子、三代目正派家元・中島一子、同副家元・奥田雅楽之一、正絃社家元・野村祐子各師、尺八のゲストは都山流宗家・四代中尾都山、五代継承者・中尾都康、同理事長・森田柊山、邦山会会主・二代山本邦山各師はじめ関東支部有志、初代山本邦山門下生有志、峰山会会員・会友、小鼓に安倍真結師をお迎えし、プロローグからエピローグまで全10曲が演奏されました。
小鼓とともに「朱竹三番叟」
都山流宗家の指揮で「本曲紅葉」
藤原道山師の指揮で「よろこび」
初代山本邦山門下生有志による「尺八四重奏曲第一番」
野村祐子とともに「高原のオブジェ」
正派家元親子とともに「三曲第二番」
宮城ご宗家とともに「春の海」
竹の新撰組による「竹の群像」
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都山流多摩幹部会
第60回記念都山流尺八定期演奏会
昨秋10月18日、関東地区の都山流では60回の節目を迎えた多摩幹部会定期演奏会を小金井 宮地楽器ホール・大ホール(小金井市民交流センター)にて開催。
昭和37年に発会の都山流尺八多摩幹部会は、西海谷梦山現会長のもと絃方6社中を迎え、都山流本曲「新生」に始まり、野村祐子作曲「古都絢爛」まで12曲を演奏。プログラムには都山流本曲や峰山作曲「津軽風土記」など尺八を主体に箏との合奏曲を取り上げ、尺八の音色を堪能する午後のひとときとなりました。
また、60回記念特別ステージとして用意されたゲストコーナーの【野村正峰の世界】では、野村峰山・野村祐子・野村哲子各師で「胡笳の歌」、正絃社幹部会関東支部会員の出演で「秋の讃歌」を演奏。フィナーレは多摩幹部会の会員32名による「古都絢爛」の大合奏で、尺八のハーモニーが音響のよい会場に響き渡り、気持ちのよい合奏となりました。
「津軽風土記」リハーサル
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犬山先聖寺コンサート
愛知県は寺院の多い県でことに犬山市には大小さまざまなお寺があります。伝統芸能に造詣深い黄檗宗の先聖寺の和尚様のお招きで、10月20日、「竹林を渡る風の音」と題し、野村峰山、友常毘山、野村祐子各師によるライブステージを開催。演奏とお話を楽しんでいただきました。
和尚様を囲んで右より友常、峰山、祐子各師
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宗次ホールスイーツタイム
秋の木漏れ日コンサート
~箏と尺八に日本の心の歌を添えて~
昨年10月25日、宗次ホールで開催された表記の正絃社合奏団コンサートでは、ソプラノ歌手の村瀬亜紀さんとの共演で「日本名歌集(第1編)」~花嫁人形・出船・雪の降る街を・椰子の実~メドレー、箏・十七絃合奏曲「鵬よ」、再び歌とともに「友よわが友」、休憩後には箏・十七絃五重奏曲「地下室のメロディ」、箏尺八二重奏「岬の灯台」、フィナーレには「月に寄せる日本のうた」で歌と共演、午後のひとときを和の音色と歌で楽しんでいただきました。
恒例の全員写真
また、10月13日、昭和文化小劇場で開催された「第33回公演 民謡と端唄 蟹江尾八会~民謡は旅人」にては民謡三味線と箏曲の合奏でジュニアとともに「明日があるさ」「大きな古時計」「見上げてごらん夜の星を」、名取会とも「月のうた四題」「紅葉」を合奏、端唄俗曲コーナーでは「京の四季」「梅は咲いたか」などに家元が箏の伴奏で盛り上げました。
正絃社合奏団では、通常、月2回の練習でいろいろなイベントに参加し、腕を磨いています。
興味のある方は事務局まで。
民謡尾八会での共演
蟹江尾八家元とともに
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〇前号でご紹介した昨年の都山流愛知県支部第45回都山流尺八定期演奏会」(9月29日(日)、ウインクあいち大ホールにて開催)のおりの正絃社出演曲「編曲長唄元禄花見踊」、特別ゲスト「鳰の海に」の写真が届きました。
「編曲長唄元禄花見踊」
特別ゲスト「鳰の海に」
正絃社出演者全員集合
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三重県三曲協会
第53回 三曲演奏会
三重県三曲協会(会長木岡ふみ子氏)では、11月17日、サンヒルズ安濃ハーモニーホールにて表記のとおり演奏会が開催され、特別ゲストとして野村峰山、友常毘山、野村祐子各師が招かれました。
演奏会は10時開演で、地元社中による19曲が演奏され、正絃社からは伴野節子社中が「平城山越えて」を演奏。ゲスト曲は午後2時10分から1時間のオンステージ。
木岡ふみ子会長と家元
伴野節子社中「平城山越えて」
サンヒルズ安濃ハーモニーホールは音響のよいホールですが、緞帳がないため舞台転換の出入りはすべてオープンのまま。各社中の舞台転換では出演者の出入りは上手側から、楽器の転換の楽器屋さんスタッフは下手側からという取り決め。すべて客席から丸見えですが、手早い転換で時間表通りのスムーズな進行でした。
ゲストプログラムは4曲。
1、流祖 中尾都山編曲「鶴の巣籠」
2、尺八独奏曲「甲乙」(初代山本邦山作曲)
3、「対話五題」二本の尺八のために(諸井誠作曲)
4、「高原のオブジェ」(野村峰山作曲)
1曲めの「鶴の巣籠」では舞台上手からの野村峰山師の呼び竹で始まり、客席後方から友常毘山師が応えて登場、虚無僧の出会いが演出され尺八の音色がホールいっぱいに響き渡りました。
2曲目の「甲乙」は尺八2尺管による豊かな響きの独奏。「甲」=高音、「乙」=低音の音色の吹き分けを、「緩」=古典的で拍節感のない自由リズム、「急」=リズミカルで現代的な奏法の中に織り込み、「緩と急」「古典と現代」「自由リズムと拍節的リズム」の対比の面白さを表現した初代山本邦山先生の名作です。巧みな指裁き、息遣いに客席は息を飲むように聞き入っていました。
3曲目「対話五題」では一尺八寸管(友常毘山師)・2尺3寸管(野村峰山師)によるバトルのような絡み合い。古典を取り入れながら奏される空間的な現代音楽。作曲者の言葉『時には対話の領域をはるかにこえて、むしろ対決となり、格闘となる。この対決格闘は…』のような短管・長管の音の対決が表されました。
4曲目「高原のオブジェ」は、尺八6寸管の鮮やかな音色と十七絃の二重奏で、美ヶ原高原美術館の野外作品の「マイ・スカイホール」「スズメヲウツノニタイホウヲモチダス」「戒」「親 指」から着想を得た創作が客席の耳を惹きつけました。
4種の尺八を吹き分け、古典、現代、創作の幅広い演奏で客席を堪能させる野村峰山師の素晴らしいステージに、客席から限りなく盛大な拍手が贈られました。
リハーサル風景の写真を掲載します。
客席から登場する友常毘山師
相向かい合う「対話五題」
- 2025.02.12