各地の活躍 ~うたまくら328号より - 正絃社

各地の活躍 ~うたまくら328号より

各地の活躍

都山流ブラジル・サンパウロ支部主催
  日本音楽研究会・発足八十周年記念演奏会 
          都山流ブラジル支部会員 山岡 洋雄
 
 去る7月、都山流尺八楽会ブラジル支部及び、正絃社ブラジル支部共催による「日本音楽研究会発足八十周年記念演奏会」(立正佼成会会館にて)が催された。ブラジルに数ある芸能関係の会の中で、最も歴史の古いものである。創立は、戦前の昭和14年11月5日、都山流紙谷白山門であった三好寿山師と、絃方の杵屋家門下であった三好美和師の夫妻に拠る。
 世代が変わり、美和師の娘の寿美江師が箏曲正絃社支部を司り、その夫の斎藤深山師が都山流の支部長を勤め、夫妻が力を合わせて、八十周年記念と言う栄えある記念演奏会を実現させる事が出来ました。この尺八と箏のカップルの夫妻は、八十年前に創立した夫妻への追善供養として、いかにも相応しい夫妻と言えましょう。

プログラム
1.越天楽(箏、尺八の他に太鼓、カネを入れて合奏。幕開けに相応しい一曲であった)
2.頌和楽(尺八二部合奏)
3.二管の譜
4.君をのせて・祭花 (箏曲)
5.白銀の神殿 (箏曲)
6.宮城野(箏・尺八・コーラス、の三部混成。聴く人の心に強く訴え、ノスタルジーを感じさせる。名曲と言えるだろう) 
7.コーラス
8.鶴の巣籠(斎藤支部長の力奏であった)
9.編曲長唄越後獅子(箏、尺八の二部合奏)
10.さくらさくらメドレー
11.長城の賦(コーラスは「コラル・オオタチ・ミリアン」、総勢40数名、ベテラン揃いの磨き抜かれた声で、会場を圧倒する出来栄えだった) 

 ブラジルに幾つかある箏の会、尺八の会の中で、これだけの多人数のコラルと共演の実績を積み重ねている会は正絃社美和会と都山流尺八支部に限られています。ぜひともこの伝統を今後とも長く継続して行く事を願って止みません。
 最後に、八十周年記念演奏会を無事に成し遂げて下った斎藤師、寿美江師夫妻に、心から感謝の言葉を申し上げます。また、ご多忙の中を快く応援参加して頂いた琴古流のシェン・リベイロ・響盟師、そして、40数名のコーラスの皆さま、参加して頂いた会員の皆さまにも心からお礼の言葉を申し上げます。

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大好きな海の風と 箏の音色inハワイ       佐藤喜世恵 

 いつか海外で演奏したいという入門時の大きな夢が、令和元年10月に叶いました。
演奏は、ハワイのラジオ出演、妙法寺でのワークショップ付きコンサート、ホスピタルのハートフルホールの3回。演奏プログラムは「夏草の賦」「春の海合奏」「五丈原」「ふるさとの風」「月に寄せる日本のうた」「さくら五重奏」「旅路」です。そのうち私の出演は四曲!!
一曲でも余裕がなく、いつもバタバタしているのに、私は何と無謀な夢を抱いていたのかと、懸命に練習したのですが…。
先生から、「舞台では、『私は、とっても上手』と、自分に言い聞かせてね。」
と、教えていただいていましたが、その余裕がないまま名古屋を出発しました。そして、ハワイ到着。
 慌ただしく毎日のスケジュールが過ぎていく中、コンサート会場の妙法寺では、和尚さんのテノールの歌声(和尚さんはオペラ歌手)、長唄、お囃子、尺八、三味線、箏、日本舞踊のコラボレーション舞台が繰り広げられました。様々な音色が織り込まれていくって、こういうことなんだ、と心が震えました。
 ふと、ハワイの皆様には、日本の伝統音楽はどのように聞こえるのだろうと考えた時、【舞台では『私はとっても上手』と自分に言い聞かせて】ということは、演奏側だけではなく、聞いていただく方のためにも必要な心持ちだったのだと、今更ながら気づきました。
 私の好きな箏の音色を、聴く側の人たちに感じてもらうには、演奏側がゆったりとした心持ちで演奏していなければと…、まだまだ、そんな音色は出せませんが、演奏することに対して、これまでと違った意識が芽生えたことは確かでした。

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クアキニ病院コンサート


 ホスピタルでの演奏も長年の夢だったのですが、自分の思いが強すぎると冷静でいられなくなるということも体感しました。
 咳き込まれているにもかかわらず、一生懸命聞いてくださったり、涙ぐまれる姿が目に入り、胸が一杯になってしまいました。
 ラジオ局では、ガラス張りのスタジオで通りがかりの人に見られながらのナマ演奏、正座でしたが緊張のあまり、足の痺れも忘れてしまいました(笑)
 ワークショップでは身振り手振りで「さくら」を教えた時、楽器は言葉が通じなくても相手に伝えることができる充実感とともに、ハワイの人たちのフレンドリーな温かさも感じました。
 演奏をすべて終えた後は、ほっとしてハワイ観光。ダイヤモンドヘッドに登りながら、(運動靴を持たずにハワイに来た私はサンダル履きだったのですが)祐子先生が、
「和服のとき、草履はこうして歩くと綺麗に見えるのよ。」
と、歩き方を伝授して下さったり、ダイヤモンドヘッドの頂上で海からの風を受けながら、サプライズ尺八演奏に感動したりと、とてもとても得ることの多い恵まれた楽しいハワイでした。
 こんな素敵な挑戦をさせていただけたのも、長唄「桃華の会」杵屋勝千華先生はじめ御一門の皆様、尺八の秦瓢山先生、曽我哲山先生、正絃社のお家元や先生、先輩方のおかげです。
 本当にありがとうございました。
 大好きな箏の音色を、もっと、もっと追求できるよう頑張りたいという気持ちが、より高まりました。感謝いたします。  
(名古屋市・野崎緑門下・助教)

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