幹部会便り ~うたまくら328号より - 正絃社

幹部会便り ~うたまくら328号より

幹部会便り


秋の研修会に参加して  及川 道寛

 11月17日、街路樹のイチョウが鮮やかに色づき、すっかり秋めいた少し風の強い晴れの日、初めて研修会に参加しました。
 お箏を始めたのは半年ほど前、社会人になって2年目の初夏の頃でした。ようやく職場の雰囲気にも慣れてきて少し心に余裕が持てるようになっていた中で教室にお誘いいただき、仕事以外に打ち込めることが欲しいなと思っていた自分にはうってつけでした。
 お箏の経験は中学生の頃に授業で数回触れた程度。大人になって改めて向き合ってみると、13本の糸が邦楽独特の音階に並んでいて、計算された中に趣きがあり、それがまた心地良くてすっかりお箏の虜になってしまいました。とは言えすぐにその魅力を生かせる訳ではありませんでした。先生がサラサラと弾くのを見て、それを自分でも弾いてみる。これがまったく上手くいかない。頭ではイメージがあるのにその通りに弾けないもどかしさを感じる日々でした。

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後列右側・及川さん 

 そんな時に研修会の話が上がり、演奏する曲を決めるという時に楽譜を見たり曲を聴いたりして「回転木馬」の第一箏を弾いてみたいと思いました。これは自分にとって挑戦でした。先生方はなんて事のないように弾きますが、様々な表情を見せる約10分間の譜面に翻弄されるばかりで、あたふたしているうちに曲が終わってしまう始末。おまけにすくい爪が苦手なのも合わさって始めのうちは弾けるようになるのか不安でした。その頃にちょうど、NHK・Eテレの「にっぽんの芸能」にて春の公演の「回転木馬」が放送されました。「なんて楽しそうなんだろう。この中に入って演奏してみたい!」その日から、もっと頑張らなくてはと練習にもより一層熱が入りました。
 そして研修会当日、初めてお会いする人ばかりで緊張しながらも、ご挨拶をしたり会場の設営のお手伝いをしたりしているうちに、これから演奏が始まるんだ、と期待と不安が入り混じった気持ちで心がいっぱいになりました。
いざ演奏が始まってみると自分の音が聞き分けられなかったり、暗譜していたはずが飛んでしまっていたり、てんやわんや。そんな時ふと顔を上げると、祐子先生がまるで絹布を撫でるが如くお箏を弾いていました。
「どうしたらそんなに美しく弾けるんだろう」
 その光景に見惚れながら自分でも同じように手を動かしてみると、焦っていた心が穏やかになり、落ち着いて弾き続けることができました。本当にそれが魔法のようでとても充実した時間になりました。そんな1日はあっという間に終わり、会場の片付けをしている頃は、少しの達成感と次はもっともっと頑張らなくてはという気持ちで満たされていました。
 お箏を弾いている間は、普段のお仕事や悩み事などをスッカリ忘れることができる本当にかけがえの無い時間です。もちろんうまく弾くことができなくて悔しい思いもたくさんしますが、それを克服できた時の嬉しさや楽しさは何にも代えがたい喜びです。先生方の演奏のように、人の心を打てるような演奏ができるようにこれからもたくさんお箏を楽しみたいとより強く思いました。
 研修会に参加することができて本当に良かったです。ふつつか者ではございますが今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(仙台市・小林幸子門下)

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東北支部研修会に参加して     渋谷幸子 

 おだやかな小春日和に恵まれた11月17日、市民活動や文化活動の拠点として多くの方に親しまれ、市の中心部に位置する、仙台三越定禅寺通り館6階「エルパーク仙台」にて開催の、秋の研修会に参加いたしました。
 研修曲は、「回転木馬」、「虹の舞曲」、「緑の小路」、昼食をはさみ、「白樺の林にて」、「八千代獅子」、「秋の七種」、「花かげ変奏曲」の7曲です。私のエントリー曲は回転木馬と虹の舞曲、秋の七種でしたが、多くの楽器を用意していただいたおかげで、ラッキーなことに全曲参加することができ、本当に楽しく、有意義な時間を過ごさせていただきました。
 祐子先生から、1曲1曲の手の動かし方、強弱、緩急など、細かなありがたい指導をしていただきました。お口のまわりを回転させてモグモグ動かす、口角を右へ左へ交互に上げる「顔の運動」も伝授していただきましたので、毎日笑顔で実行しております。
 さて、「八千代獅子」と「花かげ変奏曲」は、三絃にて受講させていただきました。演奏前に哲子先生に糸を取り換えていただいたおかげで、恐縮しながらも、嬉しく演奏することができました。また哲子先生から、『台風等自然災害により大変、不自由な生活を強いられている方々がいらっしゃるこのご時世に、お箏やお三味線のお稽古が出来ることは、本当にありがたく、そして支えられているのです。』という話を、お伺いしました。

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広いスタジオでの合奏研修

 私は心の底から共感し、これからも皆様と楽しく、日々感謝と精進を忘れずに歩んで行きたいと思いました。
 最後になりましたが、家元をはじめ、哲子先生、役員の方々の手際の良い準備、気配り本当に頭が下がります。心よりありがとうございました。(仙台市・林映子門下・准師範)

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