幹部会便り ~うたまくら342号より - 正絃社

幹部会便り ~うたまくら342号より

幹部会便り *写真はクリックで拡大します

関東支部合奏研修会に参加して     佐々木きわ子
 
 コロナ禍もやや落ち着いて、東北正絃社もようやく活動し始めました。
 3月19日には東北新幹線・白石蔵王駅の碧翠園能楽堂にて「春の宴コンサート」、そして人間国宝・野村峰山先生と竹の新撰組による「尺八ミニライブ」を大盛況に終わることができホッとしました。
 そして4月1日、幹部会関東支部の合奏研修会に初めて参加することになりました。

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藤井清美支部長ご挨拶

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深澤信子前支部長ご挨拶

 実は遡ること三年になりますが、国立劇場で開催される「春季三曲名流演奏会」(令和2年度日本三曲協会定期公演)への出演を思い立ったものの、このコロナ禍で演奏会が中止となってしまいました。以来、思うようにお稽古にも行けず諦めていたのですが、国立劇場が近々取り壊されると知り、これが最初で最後の国立大劇場の舞台だと思い、今回の出演を決意しました。
 さて、関東支部の研修曲はこの演奏会のリハーサルも兼ねて出演曲の「編曲長唄越後獅子」そして「さくら三重奏」「炎の舞」。

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右から2人目・佐々木きわ子さん

 研修会当日は、三年三カ月ぶりの上京で、東京に向かう新幹線の車窓からは、例年になく早咲きの桜の景色にワクワク、・・・そういえば、桜の時期の東京は初めてだなあ、と思いながら品川駅最寄りの研修会場へ。会場近くの目黒川沿いには桜が咲きほこり、水面にたくさんの花びらが浮いて、これぞまさに花筏の風情。
 ビル11階の研修室からは桜こそ見えないとは言え研修曲の「さくら三重奏」、この箏の合奏3パートに尺八2パートが加わると「さくら五重奏」となりまして、この時期にピッタリの選曲♪です。桜の花びらがひらひらと風に舞い散るような儚さが尺八の響きで表されていますが…、私としては、せっかくの「五重奏」の尺八の演奏を聴くゆとりがなく、ひたすら自分のパートの演奏に必死になっておりました…

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関東正絃社尺八倶楽部のメンズ

 一方の「編曲長唄越後獅子」は、演奏会に向けて各自の練習も意気込んできたことで、さすが呼吸がぴったり‼ 私は…と言えば、これから暗譜に挑戦しなければ…、と覚悟しながら楽譜にかじりつき(汗)
「炎の舞」も、参加者同士は初めての合奏なのに、もう仕上がった出来栄えで、あらためて合奏の楽しさを感じるひとときでありました。

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合奏の楽しさ


 所属の異なる支部への研修会参加で緊張感はありましたが、目的を共通とする集まりは楽しく、あっという間に時間が過ぎました。
 これから演奏会に向けて、硬くなっている脳を柔らかくほぐし暗譜に頑張らなくては!と、自分に言い聞かせています。
 いつもご指導頂いております、お家元祐子先生,哲子先生、そして出演の皆様に迷惑をかけないよう努力いたします。皆さま、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
(岩手県北上市・幹部会東北支部副支部長)

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部会別研修会を開催して   野 崎  緑

 全ての社会活動が制限されたコロナ禍の数年間でしたが、こういうときこそ会員の皆様との繋がりを絶やしてはならないと心に決め、会員全員へ「新年会DVD」「合奏会DVD」を送り、本部では感染対策のなかでの「合奏を楽しむ会」「なんてったって邦楽」講演会、関東支部でも「合奏会」を開催し、今年は本部ではようやく新年会開催へ漕ぎつけました。ほとんど活動のできなかった東北支部では、ようやく今年3月、人間国宝に認定された野村峰山先生を中心にしてミニコンサートを開催することができ、久しぶりの出会いと舞台演奏を楽しむことができました。

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野崎緑会長ご挨拶


 さて、ゴールデンウイークも明け、政府から出されたコロナ5類移行に、ようやく平常の生活に戻りつつある5月、14日・21日の両日、正絃社会館にて部会別研修会を開催しました。少人数、目の前での指導で上達を目指すものです。
 准師範試験を目指す助教のかた、あるいは助教を目指すかたのために、楽理講習と試験課題曲「春の曲」を取り上げました。
 これまでの合奏会のような大勢の合奏の楽しさにも捨てがたい魅力がありますが、今回の狙いではもっときめ細かな演奏技術を身近な指導で習得して、演奏のレベルアップを図りたいと企画しました。
 果たしてその成果はいかに・・・。「ローマは一日にして成らず」ではありますが、一日一日コツコツと積み重ねる努力はきっと実を結ぶものと思っています。
 後述の参加者の感想をどうぞご覧ください。そして、今回参加できなかった皆さま、ぜひとも次の機会のご参加をお待ちしております。

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助教部会「春の曲」と楽理講習

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准師範・師範部会「典雅」

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大師範部会「桜川」

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大師範部会「阿蘇讃歌」     

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正絃社会館を初めて訪れました  梶 德 恵

「手首はこう伸ばして・・」「もう少し深く絃に指を入れて・・」「手の形は変えずに、掴むように・・」祐子先生の一言一句が私にとっては目からうろこの連続でした。
 令和5年5月14日、部会別研修会『典雅』の曲を学んでまいりました。名古屋はあいにくの雨模様でしたが、前向きになっている時は、雨も自分を押してくれているように感じるから不思議です。ホテルから徒歩で10分くらいのところに正絃社会館が見えてきました。金色の大きな文字がドカーンと私の視界に飛び込んできました。見上げるような会館の高さにびっくり。思わず、スマホを取り出し『カシャ』。
 ドキドキとワクワクの中で始まった2時間があっという間に過ぎ、今まで弾けたと思っていた自分を恥じる事ともなりましたが、それよりも、上を向いていこうという気持ちがまさり、帰りの足取りは何やら軽やかにも感じたものです。
 幹部会会長からこの原稿のご依頼があり「今日の素直な気持ちを」とおっしゃっていただきました。香川の地から私を名古屋に向かわせた力は何だったのでしょうか。『ビデオで新年会』を拝見して、私の中ではずっと繋がっていたこと、今年の新年会に参加させていただいたこともあって、心の片隅だけれど定位置にずっとあった熱いものがぷくんと顔を出したとでも申しましょうか。

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梶 德恵さん

 また、幼い時に耳の奥に残っていた響きは色褪せることはなく、自分を支えてくれていたのだということに改めて気づいたのかもしれません。対面でお会いできたこと、不安を感じる中で声をおかけ下さったことは大変嬉しかったことでした。ありがとうございます。
 音色という言葉が表すように、音には色があるのですね。爪が絃に触れるその色に耳を澄ませ、一つ一つの音を大切に丁寧に、という静かな思いを抱いています。
 最後に、『うたまくら』を編集発行そして郵送等お世話くださっている方々、今回この場を与えて下さった方々に改めて御礼申し上げます。また、名古屋に参ります。
(香川県高松市・師範)

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大師範部会「桜川」参加しました!  岩 瀬 直 子

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後列中央・岩瀬直子さん 

 久しぶりに開催された部会別研修会に参加させていただきました。古曲は機会がないとなかなか練習出来ない私です。まだまだ練習不足でしたが思いきって箏のパートで申し込みしました。
 箏はお家元、三絃は哲子先生のご指導で始まりました。後押しのタイミングやアクセントの位置、唄のフレージングなどなど細かく説明していただき、どんどん弾きやすく唄いやすくなって行きます。あっという間に時間が経ち、いよいよ三絃との合奏です。哲子先生の説明を聞きながら、先程の注意点を思い出しながら合奏。弾きにくい所は哲子先生が聞かせてくださり、そこへお家元の箏がすっと入って来て、聴き入ってしまう場面もありました。あっという間に終わってしまった研修会でした。

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哲子先生

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箏と三絃の合奏は対面で

 コロナ禍以前と比べればまだまだ少ない参加人数でしたが、学びたい会員が集まってご指導を受ける。このような日が再び訪れ、大変嬉しく幸せを感じたひとときでした。
(知立市・直門・大師範)

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大師範部会に参加して  早 川 貴 美 子

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右端・早川貴美子さん


 5月21日、真夏並みの暑い日になりました。久しぶりの大師範部会です。
 講習曲は、午前中は古典曲「桜川」、午後は正峰先生作曲の「阿蘇讃歌」です。
「桜川」の箏パートは御家元、三絃は哲子先生と、教室を分けての受講です。
 練習は、難しい所は何度も繰り返す。判りやすい説明と、美しい音色でのお手本実技。いつもの暖かい練習風景です。コロナ禍を経験した後だからか、大人数での合奏は本当に楽しかったです。
 また、御家元、哲子先生のお二人の素晴らしい音色が、ズーッと耳に残り、明日から頑張れるな、頑張ろうと思いながら帰る、幸せな一日でした。 (鈴鹿市・伴野節子門下・大師範)

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大師範部会「阿蘇讃歌」に参加して  松 浦 直 子

 清々しい新緑の候、5月21日(日)に久しぶりの部会別研修会ということで、私は大師範部会の「阿蘇讃歌」に参加させて頂きました。

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左端・松浦直子さん


 前日に、大音量のCDに合わせてお稽古する私の演奏を、たまたま遊びに来ていた母が聞いていて、
「素晴らしい曲ね。もう一度最初から聞かせてくれる?」
と涙を流して言ったのです。
 近年、認知機能低下気味で私の演奏会にもなかなか足を運んでもらえなくなった母ですが、良い作品は良いものとしてちゃんと心に届くんだなと嬉しく思いました。
 さて、部会では、大編成曲であるにも関わらず、祐子お家元より各パートごとにポイントを押さえた分かりやすいご指導をしていただきました。
 作曲にあたり、正峰先生がお部屋にこもられ部屋中の壁に阿蘇の写真を貼ってイメージを膨らませた等、秀子先生からも、作曲にまつわる興味深いお話も聞けました。
 皆それぞれが教えていただいたことに気をつけながら、通して演奏した時のまとまった仕上がり、阿蘇の壮大かつダイナミックな表情を表現できた時の何とも言えない充実感・・・、楽しい!の一言でした。
 また、この短時間で同じ曲がこれほどにもブラッシュアップされて生き返るのかという驚きや、一人では味わうことのできない皆と一体となって演奏できる嬉しさなど、部会に参加させて頂く意義を改めて強く感じました。

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日本三曲演奏会前夜祭にて中央・松浦直子さん


 涙を流した母に、皆での生の演奏を聞かせてあげたかったです。
 祐子先生、役員の皆さま、良い機会を与えて下さり本当にありがとうございました。
 私も近いうちに必ず阿蘇を訪れてみたいです。  
 (名古屋市・直門・大師範)

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 助教部会 楽理講習「春の曲」を受講して     佐 藤 喜 世 恵

 楽理講習を受講するのは2回目ですが、今回は准師範試験の課題曲「春の曲」の講習もあり、前回にも増して学ぶ意義を強く感じた時間でした。
 まず、「春の曲」が作曲される以前のお箏の歴史のお話から始まり、様々な変遷を経て、いかにお箏の地位が確立されていったのかを学びました。お箏の歴史の中で「春の曲」がどのような存在で意味があるのかを考えることができ、先人たちのお箏への強い想いを感じました。
 また、「秋風の曲」は百年以上前の曲「六段の調べ」と合奏ができるように作曲されたとの紹介もあり、時を超えて箏曲を愛でることに驚きました。

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左端・佐藤喜世恵さん

 さらに准師範試験を見据えた多様な音階のお話や、洋楽との違い、歌い方の違いを再認識できました。特に、速くなったり遅くなったりするリズムについて悩んでいた私にとっては、リズムではなく「間合い」と聞き、日本の伝統音楽である「箏曲」を洋楽の視点でしか捉えきれていない自分の状況に、ハッとしました。いまだに体得はできていませんが、先生の合いの手をよく聞きながら精進しようと思っています。ありがとうございました。
(名古屋市・野崎緑門下・助教)

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