新刊紹介 ~うたまくら343号より - 正絃社

新刊紹介 ~うたまくら343号より

パンドラ

  野村 祐子作曲
  編成 箏高低3部・十七絃・三絃・尺八

 パンドラは、人類に災いをもたらすためにオリンパスの神々によって作られた女性である。オリンパスの神々は、女のすべき仕事の能力や男を苦悩させる魅力、あらゆる贈り物をパンドラに与え、最後に彼女に決して開けてはならない箱を持たせて人間界へ送った。

 美しいパンドラを見たエピメテウスは「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という忠告にもかかわらず彼女と結婚した。そしてある日、パンドラは好奇心に負けて箱を開けた。箱に封じ込められていた様々な災いが飛び出していった。パンドラが慌てて蓋を閉めた中に残ったのは希望だった。 

「パンドラの箱」は開けてはならないもののたとえ。現代社会においても「パンドラの箱」は少なくない。時代が変わり世の中が変わっても人間の愚かな行いは変わらず、多くの災いが飛び出していく。しかし、希望は残されている。

 パンドラの箱の中に最後に残された「希望」に、平和な社会への願いを込めて。
(2023年1月作曲)

★尺八パートは五線譜ですのでフルートなどでの演奏も可能です。

このページのTOPへ