公演ご案内 ~うたまくら343号より - 正絃社

公演ご案内 ~うたまくら343号より

公演ご案内

宗次ホールスイーツタイムコンサート
≪正絃社合奏団箏コンサート≫

尺八と箏で巡る日本の四季

~人間国宝・野村峰山と正絃社合奏団の仲間たち~

日 時 令和5年12月5日(火) 
    13時30分開演(13時開場)  
会 場 宗次ホール

出 演
 〇 箏・十七絃・三絃:野村祐子 野村倫子
   正絃社合奏団  :鈴川悦代 岩瀬直子 木﨑美智子 林 紀依 竹内裕美
            佐野亜子 川勝ももこ 水野優子 兼岩展子 
 〇 尺  八    :野村峰山 野村云山   

プログラム
 ①冬~組曲「きたぐに」(野村正峰作曲)    
 ②春~「春の訪れ」(宮城道雄作曲)   
 ③春~「春光楽」(野村峰山作曲) 
 ➃夏~「脆性ノスタルジア」(冷水乃栄流作曲)
 ⑤秋~「胡笳の歌」(野村正峰作曲)   
 ⑥パンドラ(野村祐子新作)

 12月は、過ぎ去った一年を振り返り、クリスマスを迎え、新年への希望を膨らませる月です。
人間国宝・野村峰山と正絃社合奏団のコンサート、今回は四季を辿るプログラムでオープニングは冬の題材から、まずはお馴染みの野村正峰作品より「組曲きたぐに」。

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正絃社合奏団

 北陸の海をイメージした《吹雪の海》、雪の中訪れた永平寺の森閑とした風景《雪の山寺》、今では見られないタイヤチェーンを巻いて走る車の音が作曲の動機となった《街の夜》、ようやく春めいてきた《残雪の道》を走り抜ける旅行の帰路、この四つの風景を思い浮かべてください。
春の作品は2曲。
 宮城道雄作品より箏・尺八二重奏の「春の訪れ」。鳥の声、木々のざわめきなど古風な合奏に懐かしさが溢れます。
そして、野村峰山作曲「春光楽」。親子の尺八二重奏、柔らかな響きを味わえます。

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野村峰山・云山(幹人)


 夏の題材には、東京藝術大学修士課程作曲専攻の若き作曲家・冷水乃栄流氏による邦楽作品。多岐にわたる作曲ジャンルで邦楽器の作品も多数、コンクール入賞歴も多く、活躍中の人材です。この作品は、【蝉の声、花火の音、蛍の飛び交う光、夏の思い出がよみがえり、また淡い記憶が薄れてゆく…夏は非常にノスタルジックな季節】という作曲者の言葉を表わしています。箏の龍角(箏の絃の橋の部分)でカリカリとした音を出したり、箏爪の表面で絃をカタカタと鳴らすなど独自の奏法で独特の世界観を表現し、三名の奏者が一体となってひとつの空間を作り出す難曲です。 
 かわって秋は、野村正峰作品のなかでも人気の名作「胡笳の歌」。中国の書家としても有名な顔真卿が中国西域へ派遣される際に、友人の岑参(しんしん)が送った送別の詩「胡笳の歌」に感じて作曲したもので、心に沁みる曲です。題材が別れの詩によるため、この頃の慶事の場では取り上げる機会がありませんでしたが、久しぶりの演奏にご期待いただきたいものです。嫋々と響く尺八の音色と中近東風のメロディ、箏が日本的な響きを加えていっそうの別れの悲しみを綴る、渾身の作曲をお楽しみください。
終曲には新作「パンドラ」。
 ギリシャ神話に登場する「パンドラの箱」とは、開けてはならないものの代名詞。今も世界中で現実となっている戦争や事故、火事や水害などの災害。人間の欲が引き起こす災いがなくなり世界に平和が訪れますように、願いを込めて演奏いたします。冬の午後のひととき、箏と尺八の音色をお楽しみください。

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