各地の活躍 Vol.1 ~うたまくら345号より - 正絃社

各地の活躍 Vol.1 ~うたまくら345号より

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 幸せ願う新春箏曲演奏  永 井 かよみ

 令和6年1月1日午後4時10分頃、ゆっくりとした揺れを感じたと思った瞬間、大きな地震になり恐ろしい思いをしました。能登半島地震で被災された多くの皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
 実は私たち正絃社では、昨年の10月15日に金沢市で開催された第38回国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」~箏曲の祭典~に参加し、「組曲きたぐに」を演奏しました。
 この曲は、私が敬愛する初代家元野村正峰先生の名作のひとつで、北陸地方にちなむ題材が入っている曲です。「吹雪の海」「雪の山寺」「街の夜」「残雪の道」の4つの楽章からなり、作曲の動機になった土地に近づくことで演奏の気持ちも高まりますので、旅行の楽しみもいっそう増していました。
 私のパートは第2箏で合奏でのリズムが難しくなかなか暗譜に苦しみましたが、練習を重ねるにつれて迫力ある合奏ができるようになり、嬉しくなりました。演奏会の前後の日には一緒に参加した守山教室の仲間とともに、兼六園、茶屋街へ散策。有名な兼六園の「琴柱灯篭」やライトアップされた庭園の美しさに魅了されました。

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金沢国文祭にて

 その折の茶屋街の街並みやお土産屋さんは、多くの観光客で賑わっていましたが、新年早々の震災で客足が遠のき閑散としているとか、金沢市は大きな被害がなかったそうなので、いつかもう一度行って、少しでも復興に協力したいと思っています。「箏曲の祭典」を運営された石川県箏曲連盟の皆様がご無事であることを心よりお祈りいたします。
 さて、金沢での出演の次は新年5日、熱田文化小劇場での「熱田初えびす新春コンサート」、能登半島地震の五日後の演奏です。金沢演奏旅行から合奏練習の日まで、あまり余裕がなかったのでただちに練習開始。出演二曲のうち「八重垣」は第2箏で何とか暗譜ができましたが、歌のある「七福神宝船」は暗譜する練習時間がなくなり、残念ながら楽譜を見ることにしました。  
 コンサートのプログラム第1番が野村正峰先生作曲「八重垣」。この曲は、「古事記」より
   やくも立つ 出雲八重垣 妻籠みに 
   八重垣作る その八重垣を
の歌を題材として祝典の場に相応しい曲です。
 私は間違わずに演奏できるか少々心配でしたが、皆さんの力強い音のおかげで安心して弾くことができました。

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左端・永井かよみさん

 2番目の曲は、家元野村祐子先生と人間国宝野村峰山先生の「春の海」。客席の皆さんがうっとりとして聴き入っていました。3番目は若手メンバーによる「ポップスメドレー」で、となりのトトロ、川の流れのように、ルージュの伝言、いい日旅立ち、打上花火を連続演奏、最後は元気のよい三六五歩のマーチ。客席からの拍手も沸き上がって楽しそうです。
 休憩をはさんで後半1曲目は小学生、中学生のジュニアメンバーの「そよ風のように」暗譜演奏です。子どもたちが一生懸命弾く姿に、客席も舞台裏も「頑張って!」と掛け声をかけたくなる合奏でした。
 続いての曲は新作「パンドラ」。新年早々で初えびすに因むコンサートならば、和の雰囲気で着物の舞台というところを、敢えて洋装です。「パンドラ」と言えば、ギリシャ神話で開けてはならない箱・・・、気になる世界情勢、ウクライナやパレスチナの紛争は「パンドラの箱」かも…、恐ろしい災いのない平和な世の中に早くなってほしい、と祈りたくなります。
 パンドラの演奏者は思い思いのドレスに身を包み、箱から飛び出した災いの音を、普段使わない箏の絃で表現していました。趣向の変わった演奏にアンコールの拍手喝采でした。

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洋装のパンドラ

 そして、お楽しみのおみくじプレゼントコーナー。文化小劇場の館長さんが熱田神宮近辺の名物を紹介され舞台画面に当たり番号を映写。アンケート用紙の番号がおみくじになっていました。
 その間に最終曲「七福神宝船」の準備、私もいよいよ最終の出番です。この曲は、ペンネーム・舞林紋呂さん(マリリンモンローにあやかっての命名)の作詞で、七福神が揃って船の旅に出るという縁起のよい愉快な歌です。出演者全員で優雅に歌うことができました。一昨年、尺八で人間国宝になられた野村峰山先生に一緒に演奏していただき、素晴らしい尺八の音色にうっとり! 夢見心地で弾きました。感謝感激!

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七福神宝船リハーサル

 震災で落ち込んでいる中ではありましたが、演奏を聴いてくださった方が少しでも明るく温かい気持ちになってくださったらと思います。
 今回の演奏の中で「春の海」を聴かれた私の友人は、とても懐かしい曲が聴けたと大変喜ばれ、それを聞いて私も嬉しくなりました。
 演奏を終え改めて私は、被災地の復興と皆様が明るく元気になってくださることを願い、また箏の演奏を通して、夢と希望に満ち溢れる想いをこれからもお伝えしていきたいと思います。          
(尾張旭市・直門・大師範)

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出演者全員集合


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初えびす」で学ぶ ~今、自分にできること~  小 藪 由 美 

 この度の「初えびす新春コンサート」で私は「八重垣」と「七福神宝船」に出演させていただきました。一昨年から熱田文化小劇場主催により行われているこのコンサートは、他の演奏会と少し違って、新年を和のテイストで華やかに祝い、「初えびす」に因んで福を呼び込む楽しい場です。
 最初の練習が始まったのは10月下旬のことでした。金沢での国民文化祭を終え、勢いそのままに練習に入りました。私の所属する守山教室は、秀子先生のご指導のもと経験豊かな先生方が多く、普段から全パートの合奏稽古となります。私は、もともとは土曜日のお稽古なのですが、この練習のために木曜日チームの合奏に参加、(毎回緊張しますが)あたたかくお仲間に入れていただきました。独りでの練習も大切ですが、合奏練習でテンポや強弱を確認し肉付けがされると曲全体の見え方も変わり、曲のイメージが膨らみ豊かになります。
 また、秀子先生からうかがう正峰先生作曲のエピソードや、「いつぞやの演奏会で八重垣を演奏したときは・・・」など、正絃社史に残る?お話も飛びだし(そういった楽譜に書かれていないエピソードはとても楽しくて)後々、受け継いでいくべき大切なものと常々思っています。
 「八重垣には様々な奏法が取り入れられているので、初学者の方には勉強になる曲ですよ。」と、指導の参考になるお話なども重要な情報です。時には楽曲分析・調性の説明になり、脳みそフル回転のことも(笑)そして、しっかりお稽古した後に頂くお茶もまた楽しみのうちの一つです。
 こうして重ねた二カ月程余りの練習、あっという間に新年はやってきました。

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「八重垣」リハーサル

 年末の仕事納めの大掃除、おせちの準備と、慌ただしい主婦の仕事を、何とか終えて迎えた一月一日夕方、能登地方の大地震発生。
 被害は甚大、被災された知人もあり、テレビの中のことではなく、すぐ近くで起きたこと・・・、何気ない日常は当たり前ではなく、「有難い」のだとつくづく感じました。この痛みに接し、心よりお見舞い申し上げます。

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右から2番目・小藪由美さん

 今回の「熱田初えびす新春コンサート」、華々しく新年を迎えるとしながらも、日常に感謝し、「今あることに感謝し、己(自分)のおかれたところを全力で!」との思いがますます強くなった演奏会でした。これからも精進していこうと思います。ありがとうございました。

(守山区・直門・准師範)

 

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新春コンサート ―熱田初えびすーに出演して  武 田 爽 楽

 私は今回、新春コンサートー初えびすーに初めて参加しました。私が演奏したのは、「そよ風のように」です。
 この曲を初めて聞いた時、感情を表すように工夫して弾くところ、スピードが速くなるところ、強弱が急に入れ替わるところなど、難しい所が多い曲だなあと思いました。何回か練習し、これをコンサートで演奏することになりソロのパートと聞いて感じた思いは不安でした。
 そんな中、初めてのみんなでのリハーサル。最初はソロが一人でないことに少し安心しながら、手を一生懸命動かしたのですが、間違えて焦ってどこを弾いているか、わからなくなった時がありました。自分の演奏に  自信が持てない中で、先生からのお話は、
「次回までに暗譜しましょう。」
 正直に言って、
『そんなの無理・・・、でも、やるしかない』
と思い、頑張って練習しました。
 頑張れたのは、一緒にソロを演奏した絢音ちゃんの存在が大きかったと思います。お互い励ましあいながら弾くことができました。
 二回目の合同練習では、みんな楽譜を見ないで弾いてみました。その時はまだ、それぞれ覚えられていない箇所がありました。それでも、祐子先生は叱るのではなく、いい所をほめながら、面白く、優しく、綺麗な音が鳴る弾き方を教えてくれました。ほめられたことは自分の自信につながりました。
 本番前日のリハーサルで初めて、出演者9人全員がそろい、まだ不安な点はあるけれど思いっきり楽しんで演奏しようと思いました。

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不安な練習も楽しく

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左側・武田爽楽さん

 ついに本番の日。弾き始めのソロパートが自分の役割だったので、当日の朝はとても緊張していました。けれど本番までの待ち時間を過ごすうちに、同じ曲を演奏するみんなと仲良くなれて、緊張もなくなっていきました。それで本番の時に緊張しすぎず、笑顔で弾くことができたと思います。それはみんなのおかげだから、みんなに感謝を伝えたいです。
 午後の部では、午前の部で気づいた注意点をさらに改善して弾くことができ、自分なりに成長できたことがうれしかったです。琴を弾いている人とまた関われる時があったら、楽しく話したいし、聞いてくれる人を楽しませたい、という思いが強くなり、この経験がいい思い出になりました。ありがとうございました。
  (中2・藤谷美里門下)

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「そよ風のように」


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楽しく緊張の新春コンサート  谷 川 絢 音

 令和6年1月5日に行われた新春コンサート―熱田初えびすーで、私たちジュニア合奏団は「そよ風のように」を演奏しました。
 この練習のときには新聞記者の方が取材に来られ、ひとりひとりがコンサートに向けて「聴く人に楽しんでもらいたい」「新年に相応しい演奏をしたい」などと意気込みを言いました。
 合奏練習は、はじめは上手く合わないところもありましたが、家元野村祐子先生の優しく楽しいご指導で、だんだんばらつきがなくなり、全員が楽しく全力で練習に取り組むことができました。
 本番の前日のリハーサルで初めて全員がそろい、合奏練習が始まるまではメンバーと話したりして待っていました。当日は、午前と午後の部の2回の演奏があり、待ち時間も長かったので、トランプゲームをしたり写真を撮りあったりして、年下の人とも仲良くなれました。

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左から2番目・谷川絢音さん

 本番では真剣に全力で弾けました。私は独奏パートなので、緊張のなかでミスをしないか不安もありましたが、2公演とも無事に終わることができよかったです。
 また機会があれば参加して、今回のメンバーとも話したりしたいと思います。ありがとうございました。    (中3・谷川佳代子門下)

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