トピックス - 正絃社

琴糸のルーツを訪ねて ~うたまくら327号より

湖北に野村正峰作品と琴糸のルーツを訪ねて    荒木美子

~美しい音色を求め 伝統の技を守る絹糸工場~ 
 梅雨空の中、幹部会バスツアーが始まりました。正絃社会館を出発したバスの中は、和楽器の絹糸の製造、湖北観光、この時期でしか見られない「糸取り」など、盛りだくさんの見学や体験を楽しみにワクワクした雰囲気に包まれていました。
 一時間半程で、JR木之本駅に到着。バスを降り、二宮保様の案内で、丸三ハシモト株式会社の和楽器糸の工場見学へ。

kohoku01    説明をする橋本社長さん


 最初は、糸張りの部屋。私たちがいつも使っている三絃の糸の一本一本が、太陽の光のように見え、「ワア!」と驚きの声が漏れました。その部屋で、社長の橋本様から、春繭から糸ができるまでの製造行程の説明を伺いました。
kohoku02     ずらりと並んだ糸繰り機

kohoku03   昔ながらの手作業

 

 着物の糸と異なり、和楽器の糸はセリシンというたんぱく質が多く含まれていること、もち米をついて糊を作っていることなど驚くことばかりでした。また、糸の表面を均一にする「節取り」実演も見せていただきました。その後、二階に上がり、「独楽撚り」の見学。伸ばした糸の端に独楽を付け、両手に持った板で独楽を回し、撚っていく技に釘付けになりました。


kohoku04 こだわりの節取り実演

kohoku05 独楽撚り
    


 工場見学の後は、二宮様と橋本様の案内で北国街道を散策し、昼食場所の古民家へ。そこでは、加賀井弘美先生はじめ淡海箏の会の方、木之本塾(北国街道で活動している会)の方々が出迎えてくださいました。そして、昼食は、その皆様方が手作りされた豪華なお弁当。湖北の食材をお腹いっぱい堪能しました。加賀井先生からのお言葉をいただき、お抹茶の接待、お土産、また、お店を見て歩く時間がないだろうと昼食場所にお店まで出していただきました。たくさんの心遣いに、感謝でいっぱいになりました。
 昼食と買い物を終え、外に出ると薄日が差していて、天候にも感謝しました。雨傘を日傘にして、バスの待つ木之本駅にもどりました。
 バスで十分程行くと「まゆの郷」の看板が。古くから三味線糸の生産がさかんな大音地区で、今も春繭から生糸作りの技術を受け継いでいる工房に、「糸取り」の見学に行きました。この工程は、六月二十日頃から七月中旬にしか行われないとのこと。八〇度に煮立っているお湯の中の繭から、糸の始まりを素手で探り、糸を引く機械に導く技、薄くなった繭から取り出された蚕、滴る職人さんの汗…自然と匠の技…すべての光景に引き込まれました。


kohoku06 蚕の棚

kohoku07 蚕の糸取り

kohoku08 絹糸保存会


 後ろ髪を引かれながら、バスに戻り、ツアー最後の見学地、渡岸寺(実は向源寺)に向かいました。バスの中では、湖北の歴史とそれにまつわる正峰先生、祐子先生の作品のこと、渡岸寺の十一面観音立像について、二宮様に詳しく解説していただきました。もやのかかる琵琶湖に竹生島が見えました。
 三十分程で渡岸寺に到着。静かな田園風景ときれいな水と空気の中に、渡岸寺はたたずんでいました。
本堂の奥のお堂に、日本一美しい観音様と言われている、国宝十一面観音立像を拝見することができました。しなやかな後ろ姿、怒りや慈悲や悲しみや安らぎ、いろいろなお顔に心が洗われる思いで、このツアーを締めくくりました。そして、このツアーのために、私たちを楽しく案内してくださった二宮様にお礼を伝え、帰路につきました。
 今回のバスツアーは、歴史と自然と伝統を守る匠の技を感じ、心に残る一日になりました。企画してくださった幹事の方々、二宮様、橋本様、加賀井先生はじめ「淡海筝の会」の方、木之本塾の方々に感謝の旅でした。本当にありがとうございました。 (碧南市・直門・大師範)

kohoku09

向源寺にて

このページのTOPへ