世界尺八フェスティバル in London ~うたまくら323号より
WSF2018 in London《世界尺八フェスティバル》 野村峰山
タウンホールにて演奏
4年に一度開催の尺八の世界大会ですが、前回の京都からは6年、2年のブランクを経た今年の開催地はイギリス。異常な暑さの日本から逃れるように7月31日~8月4日、尺八に関わるプロフェッショナル98名が世界各国からロンドンに大集結。多くの尺八ジャンルを代表する尺八演奏家はじめ、尺八音楽を研究する学者から製管師までが顔を揃える大盛会の世界大会で、私もその一員となりました。
大会は、7月31日夜、ユニオンチャペルでの「ガラ・オープニング・コンサート」を皮切りに、期間中は各処でコンサートとワークショップ、レクチャーが同時開催される過密スケジュール。コンサートは、「ランチタイム」が2か所同時開催のほか時間帯の異なる4つのプログラム。ワークショップ・レクチャーは、4日間、8か所同時に10時から始まる充実の授業。
私の担当はワークショップ5枠、レクチャー1枠、コンサート3回とコンクール審査。(ハードスケジュール!)
ワークショップでは、都山流尺八本曲「朝風」「木枯」。現代曲「甲乙」のレッスン。レクチャーでは、明治期~大正にかけて活躍した中尾都山にスポットをあてた「都山流尺八楽の発展」を紹介。世界の尺八愛好家に都山流を広めることができたかな…。
コンサートでは、都山流尺八本曲「岩清水」「夜の懐」。現代曲ではネプチューン海山氏作曲の「本末」を演奏。
演奏時間に余裕がない日程ですので、昼食は予約の「サンドウィッチ」、夕食は会場付近の中華レストランやパブ。イギリスの食事の味付について事前に口コミを聞いていましたが、旅慣れているせいか、美味しいメニューに恵まれ、豊富な種類のビールも味わいました。
このタイトスケジュールの合間にも「バッキンガム宮殿」の衛兵の行進を拝謁、ロンドンにて「衛兵の交替」「ロンドンの夜の雨」を作曲された宮城道雄氏の偉大さに思いを馳せました。
衛兵の交代儀式
この他に「ウェストミンスター大聖堂」「ビックベン」「グリニッジ天文台」「カティサーク号展示館」も観光できました。
このフェスティバル招聘を戴いたのは、2008年のシドニー大会から今回で3回目ですが、世界の尺八演奏家や愛好家の方々とのコミュニケーションの場で、尺八を愛してやまない多くの友や尺八道に生きる仲間ができたことが何よりのお土産。そしてさっそくサンパウロのダニロ・トミックさんから、「ぜひともサンパウロへ」とオファーが…、地球の反対側は遠いですよね…。日本国内の尺八家に負けず劣らず、世界各国の尺八愛好家のレベルはたいへん高く、今一度、自分の周りでできうる限りの指導、演奏に力を注ぎたいと感じたフェスティバルでした。
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行ってきました 世界尺八フェスティバル in ロンドン 伊藤 みゆき
ロンドンで開催される《ワールド尺八フェスティバル》に峰山先生がご招聘されたことを知り、先生の尺八の音色の大ファンである中嶋恵津子さんの『ぜひ異国の地ロンドンでの先生の演奏をお聴きしたい』と言う望みを叶えるため、主人と私が同行して、今回、三人のロンドン旅行が実現しました。
中嶋恵津子さん
伊藤みゆきさんのご主人
日程は、7月30日から8月7日までの七泊九日の旅。日本では連日40度越えのニュースが報道される中、日本よりロンドンの方が涼しいと思って出発しましたが、ロンドンでも連日30度越え。現地の天気予報でも「イギリスの中で一番暑いのがロンドンだ」というニュースが連日放送されていました。日陰に入ると涼しく感じるのですが日差しはとても強く、直射日光に当たると痛く感じるくらいの毎日でした。
「ヒースロー空港に到着する寸前には、すごい雨が降っていました。」と、添乗員さんが話されましたが、私たちのロンドン滞在中には一滴の雨も降りませんでした。
ヒースロー空港にて合流の尺八フェスティバル参加の方々と一緒に半日観光し、ウェストミンスター寺院の見学、修理中のビックベンを背景にした橋の上では、峰山先生と記念撮影。
修理中のビックベンにて
名高いバッキンガム宮殿の近衛兵の交代儀式では、観光ガイドさんが絶好の見学場所に案内してくださって待つこと15分。とても暑い中、赤い上着に熊の帽子を被った兵隊さん達が、整然と行進する姿に感動しました。ここでも峰山先生、田辺頌山先生と記念撮影。
峰山先生、田辺先生と記念写真
半日観光の後はホテルにチェックイン、二時間ほど休憩。夜は、素敵な教会のユニオン・チャペル・ロンドンでオープニングのガラコンサートが開催され、世界中から選抜の演奏家の皆様による演奏を鑑賞。尺八・琴・三絃・民謡など、とても贅沢なオープニングコンサートでした。ちなみにガラコンサートとは日本語に訳すると、祝賀コンサートという意味だそうです。
ユニオン・チャペル
ワールド尺八フェスティバルは8月1日から8月4日まで、ロンドン大学ゴールドスミス校内の大講堂、ステンドグラスが素敵な小講堂、大学から5分ほど離れた教会のようなホールの3か所にて
・午後1時からのランチタイムコンサート
・午後5時からのアフタヌーンコンサート
・午後8時からのイブニングコンサート
・午後9時半のレイトイブニングコンサート
の四部構成で4日間、約20回にわたるコンサートが開催されました。
演奏曲は、尺八独奏曲では「夜の懐」(よるのおもい)「慷月調」「峰の月」「岩清水」「霧海箎」など、合奏曲の「みだれ」「楫枕」「臼の声」「尾上の松」「千鳥の曲」「ままの川」「残月」「松風」「近江八景」「黒髪」はじめ、虚無僧の演奏、青森民謡の演奏など、多種多様な尺八コンサートの連続で、どのコンサートも日頃鑑賞の機会のない、世界中から選抜された先生方の演奏を聴くことができ、大きな感銘を受けました。
峰山先生は「夜の懐」「岩清水」の演奏と、もう一曲(残念ながら私たち3人は鑑賞できなかったのですが)ジョン海山ネプチューンさんと田辺頌山先生と小濱明人先生との尺八四重奏曲「本末」がとても好評の演奏でした。
峰山先生の「夜の懐」と「岩清水」の演奏は心に響く音色で、会場中の観客が聴き惚れていました。素晴らしい演奏をありがとうございました。2か所の会場を駆け回る合間の最中に記念撮影。大学構内は、どこもクーラーは設置されていないため、羽織・袴のお姿で出演準備をされている峰山先生に、思わず持っていた小型扇風機で涼をとっていただきました(笑)
少しは涼しくなるでしょうか
フェスティバル開催中は、時々、峰山先生にお会いできるおかげで、海外にいるんだという緊張感から解放され、安心して行動することができました。コンサートの他に時間別に開催されたワークショップは8教室で一三〇講座、2教室で30講演。多くの方々が講座・講演に参加されました。ひょっとしたらコンサート鑑賞のみの参加者は私たち3人だけだったのかも…。
峰山先生の講演では、都山流本曲の「朝風」「甲乙」「木枯」を、パワーポイントを使って(事前に日本で準備)世界各国からのワークショップ参加者に説明。
「みなさんよく勉強されていて色々な質問がありました。」
と、のちほど峰山先生からお聞きしました。この他にも都山流尺八楽を広める講演で、多忙な四日間を過ごされました。
世界中から選抜された講師・演奏家・学者・作曲家・製管師など総勢98名の中に、日本人は42名、やはり二番目に多かったのはイギリスからの19名、アメリカから12名、フランスから8名、他にスペイン・オーストラリア・ドイツなど世界各国から指導、演奏の参加がありました。
虚無僧の登場
《ワールド尺八番外編》
私たち三人は、ワークショップを受けなかったので、大学を抜け出してプチロンドン観光。
グーグルマップとグーグル翻訳のアプリをお供に、イギリス推奨の地下鉄、電車、バスなどすべて一枚で乗車できる〈オイスターカード〉を購入。セントポール大聖堂、大英博物館、グリニッジ展望台、カティーサークなどを探訪。一番のお出かけは、渡辺謙さんと大沢たかおさんの出演している¬王様と私」のミュージカルの観劇です。もちろん英語のミュージカルなので、内容を理解するのは難しかったのですが、〈シャルウイダンス〉の場面は、華やかで言葉がわからなくても楽しめました。
大沢たかおさんと伊藤みゆきさんのツーショット
終演後には、出待ちをして、渡辺謙さんと大沢たかおさんのサインをもらい、大沢たかおさんとは2ショットで写真まで撮っていただきました(笑)
最終日、フェスティバル参加者20人ほどの方たちとコッツウォルズ地方を一日観光。ロンドン市内では見ることができない、おとぎ話に出てくるような街並みの散策でした。
帰国3日後、1日目に観光したビックベン付近に、テロと思われる車が追突したというニュースを聞き、旅行中危険な思いなく無事、帰国できたことを嬉しく思っております。
今回の貴重な演奏を聴くという体験が、今後の私たち三人の練習に少しでも生かせることができたらと思っております。 (伴野節子門下・大師範・桑名市)
- 2018.11.23