トピックス - 正絃社

新刊紹介 ~うたまくら322号より

新刊紹介 

  桜花三章    野村祐子 作曲

  花盛り人も漕ぎ来ぬ
    深き谷に波をぞ立つる春の山風 (西行)

  我が宿の花見がてらに来る人は
    ちりなむ後ぞこひしかるべき (凡河内躬恒)

  声絶えず鳴けやうぐひすひととせに
    ふたたびとだに来べき春かは (藤原興風)

 毎年、庭の桜を愛でる人々で賑わう、滋賀県長浜市の箏曲家・加賀井弘美邸での花見の宴のおもてなしのための委嘱作品。桜に寄せる歌三首による箏独奏曲に尺八を加えています。
 花盛りに賑わう人々の歌、人々が去ったあとのわびしさ、今を盛りと鳴く鶯を詠む歌(吉沢検校「春の曲」にも歌われる)を並べ、三番目の歌は、歌詞の順を入れ替えた作曲としています。日本人に最も好まれる、桜花爛漫の景色を思い浮かべて。

(2017年2月作曲)

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