曲目解説(ら行) - 正絃社

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曲目解説(ら行)

柳花の苑(りゅうかのその)/野村正峰作曲

2006年山口県にて開催の国民文化祭「邦楽の祭典」委嘱作品。
源氏物語「花の宴」より「春の花の琴曲、和風楽に柳花苑、柳花苑の鶯は、同じ曲を囀る」よりの命名。この句は箏曲の祖・八橋検校の組歌「菜蕗」第二段に歌われるもの。箏曲の源流と古典文学への思いを胸に作曲。

流星(りゅうせい)/野村正峰作曲

人は、文明の黎明期である遠い昔から、星を仰いで運命を占う術(すべ)を考えました。中国は西暦紀元前、魏(ぎ)、呉(ご)、蜀(しょく)の三国が互いに覇権を争っていた三国時代、蜀の国の丞相(じょうしょう)(軍師)孔(こう)明(めい)は、五丈(ごじょう)原(げん)で魏軍と対峙(たいじ)し ます。命運をかけた戦いは長びき、その中で孔明は病に斃れてしまいます。天文、気象などあらゆる学問に精通していた孔明は、ある夜、空を仰いで祈ると自分 の運命の星が流星となって消えゆくのを知り、自分の亡き後の秘策を部下に授けるのでした。この曲は、「三国志」や永井路子女史の小説「流星~お市の方」な どの歴史物語に作曲の動機を得ていますが、「流星」への感慨が人の運命にかかわる思いとなり、単なる叙情や叙景だけでなく、 もっと深い意味をこめた人生への想念として綴られた作品です。箏は雲井調子を変形した調絃法を工夫し、格別の形式をもたない自由な発想を発展させた幻想曲 風に仕上げられています。

1980年作曲

流離の詩(りゅうりのうた)/野村正峰作曲

青島は日本内地では唯一の熱帯植物の自然の群生地で、南洋の島々から海流に乗って送られた植物の種子が、環境条件のよい、この地にだけ生育しています。島 の中はまさに南海の孤島のジャングルのような様相で、旅ゆく人は、日本の本土に突然現れた異境に、えも知れぬ感動をうけます。

第1楽章<遥かなる懐い>名も知らぬ草木の流離の旅路ヘの感慨をえがきます。
第2楽章<ひな唄の思い出>青島から日南海岸を鵜戸神宮詣でに、新婚の花婿が、花嫁を鈴のついた馬に乗せて道行した昔のならわしを歌った、シャンシャン馬道中歌の印象。
第3楽章<激情>せまりくる流離望郷の思いを3/8+5/8の複合リズムで激しくうたいあげます。

1973年作曲

ロンシャンパレスにて(ろんしゃんぱれすにて)/野村祐子作曲

南フランスの港町・マルセイユにあるロンシャン・パレスは、スイスのレ・マン湖から流れ出るローヌ河の支流・デュランヌ川から集めた水の配水場で ある。建物はロマネスク・ビザンチン様式で、十九世紀にナポレオン3世により迎賓館として作られたが、現在は美術館、図書館として使われている。その建物 の前庭には、池があり、池のまわりには噴水が階段のように並んでいる。中央に、マルセイユ出身の彫刻家ピエール・ピアジェの手になる大理石の彫像が立って おり、その足もとから噴出する水が、池に落ちていく。彫刻の美しさ、水の造形のおもしろさを箏独奏曲にあらわしてみた。

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