【312号】うたまくら 夢のハワイ演奏旅行 - 正絃社

【312号】うたまくら 夢のハワイ演奏旅行

秋明菊咲く日本から
  プリメリア香るハワイへ
日本伝統文化コンサート イン ハワイ
              栗山美智子

 10月1日~10月6日、約一週間の日程で、地唄舞・山村楽乃先生とご門下の山田梨紗子さん、家元祐子先生、野崎緑先生と社中の鷲法子さん、梶原智代美さん、長江衣利子さん、佐野亜子さんそして私の9名は、ドキドキワクワク感いっぱいで中部国際空港からハワイへ旅立ちました。
 ハワイと日本との時差は19時間、10月1日の午後10時に日本を離陸すると、ホノルル空港へ同日の午前10時40分に到着、時間を逆戻りしてちょっと得した気分でホクホク。
しかし、時節柄、米国への入国審査はことのほか厳しく、両手の指紋認証、顔写真撮影に時間をとられて長蛇の列。年間五百万人が訪れるという観光客の多さも相俟って、先にハワイ入りしていた杵屋勝千華先生にお会いするまで2時間近くを要しました。

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地上の楽園ハワイの浜辺

 日本から運んだ十七絃1面、箏2面は、チャーターした23人乗りミニバスの後部座席に、すっぽりと横向きに収まりびっくり。宿泊先のワイキキバニヤンホテルで杵屋勝くに緒先生、望月左登貴美先生と合流し、いよいよハワイ観光の始まり。
 まずは、ホールショッピングセンターへ。勝千華先生の案内で《ラップ》という今、流行りのサンドイッチ(ピザの台のような生地にフルーツ、ハム、野菜、肉などを山盛りのせて太巻き寿司のようにくるくると巻いたもの)を買出し、時間節約のためバスの中で昼食、これがまた美味しいこと。
バスの運転手さんは、流暢な日本語で、ハワイがいかに素敵なところか、陽気なガイドも務めてくれました。
~ハワイは~
 水道水がスイスに次いで世界で二番目に美味しい。地震も台風も津波も来ない。9・10・11月が秋。12・1・2月が冬。年間の平均気温27・4度。約千五百種のハイビスカスの花があるが、黄色のハイビスカスがハワイ州の花。スコールがよくくるので虹が出ることが多く、ハワイ州のマークは虹・・・、車窓からの景色で緑の多さに目を見張りながら、観光。
《ヌアヌ・パリ》ハワイ統一のためにカメハメア大王がオアフ軍と戦い勝利をおさめた地、一年中強風が吹き荒れており、草も木もすべて傾いている。
《パンチボール》第二次世界大戦からベトナム戦争にいたるまでの戦没者2万人が眠る記念墓地。ハワイ出身の日系三世の宇宙飛行士の鬼塚さんもここに眠る。
広大な丘の墓地にはインド菩提樹、アメリカねむの木、モンキーポッド、プリメリアなどの大木が天蓋の如く枝を広げ、幾多の御霊を守るかのように静かに深い緑陰を作っていました。

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カメハメハ大王像の前で

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ハワイ出雲大社で縁結びを祈る?

 そして、ハワイ出雲大社にて明日からの公演の成功を祈願、禰宜さんからお払いをうけてお神酒を頂戴。ハワイでは「神主さん」を「ヌシカン」さんと呼んで、親しまれているそう。ハワイには大宰府天満宮もあり、日本のお寺さんの数も百ヶ寺以上あるそう。イオラニ宮殿とカメハメハ大王像の観光を最後に、ミニバスはホテルへ。コンドミニアム(台所付)の部屋へそれぞれ分かれて入室。
 夜はハワイ特有のトロリーバスに乗ってさわやかな南国の風をうけながら、ヒルトンホテル「紅花」レストランへ。バスの運転手さんの陽気な歌声(運転手さんなのにマイクを使って歌いっぱなし)、なんとも明るくて開放的で地上の楽園ハワイを満喫。「紅花」では、9名で大きな鉄板テーブルを囲み、シェフの鮮やかなパフォーマンスに拍手と歓声、ステーキに舌鼓、しばし時を忘れる楽しさ。

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パフォーマンスも楽しい「紅花」レストランのシェフ

 10月2日、いよいよ演奏当日、訪問先はパウオア小学校。今回の公演の大きな特徴は、全11曲のプログラムの中から、その日のお客様の反応を見ながら出し物を決めること。
 7時20分にホテルロビー集合のため、5時起床。前夜、買出したサラダやサンドイッチ、南国のフルーツ、スープ、コーヒーで朝食。ホテルエントランスに降りると浴衣姿の私たちは「オー」「キュート」などと注目を浴びる。着物は確かに珍しい。

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浴衣姿でいざ出発


 日本語クラスのブレンダ先生、ハワイ在住のかずみさんの車、タクシーに乗り合わせて小学校へ。小学校では、楽器をお借りする光子さん、あやこさんが到着されており、すぐに皆で楽器、立奏台などの準備を始め、粛々と調絃も進行。8時、三年生の生徒たちが静かに入場。8時15分、長唄「共奴」で山田梨沙子さんの舞がスタート。続いて長唄演奏「綱館」、次に箏曲演奏「夢はマーチにのって」。

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パウオア小学校での箏曲演奏
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長唄「越後獅子」の競演


 神妙に聴いていた子供さんたちから手拍子が起こり、顔も緩んで、ほっと胸をなでおろしました。
 最後の演奏は長唄、三絃、お囃子、祐子先生の箏で「越後獅子」、そのあとは、楽器と踊りの体験コーナー。
 爪をはめるのにも興味津々、ちょっと恥ずかしそうに、でもきらきらとした目で一所懸命な姿は日本の子供さんたちと同じだなと。
 「触ってみたらきれいな音だった」と思ってもらえたらいいなと願いながらも、授業の一環としての限られた時間はあっという間に過ぎてしまいました。

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出演者全員でハワイの挨拶

 そして次は4年生クラス、第二ステージの演奏と体験学習を終了すると、翌日の演奏会場「妙法寺」へ移動。妙法寺は「日蓮宗」、我家が日蓮宗なので何かしらご縁を感じる。
ハワイのお寺は、風土に合わせて外壁がピンク色であったり、教会風の建物も見かけましたが、ここ妙法寺は本格的な和風建築で、お寺に隣接して舞台付きの広い立派なホールがありました。
 ここでのコンサートは、メイン舞台上で舞踊と長唄、箏曲演奏は客席側面の壁を背景に立奏台を組んで、舞台進行を手早くする段取り。すぐに準備を始め、舞台上では祐子先生の三絃で山村先生の地歌舞「黒髪」。山田梨紗子さんの「八千代獅子」のリハーサル。お寺という場も相俟って、襟を正すような厳粛な雰囲気がただよってきました。
 箏曲演奏にはハワイのあやこさんも加わり「月に寄せる日本のうた」。あやこさん、光子さんは長唄の三絃、唄の演奏にも加わられ、翌日の演奏曲を全曲お浚い。
移動の車中では、光子さんからハワイに咲いている花々の名前をたくさん教えていただきました。とくに、花房がぶらさがって咲くシャワーツリーという木は、「花が散るときが日本の桜の花に似ていて大好き」と、話されました。白い花ですが、白、ピンク、オレンジ、と段々になって咲く花もあり、レインボーシャワーと呼ぶそうです。
 在米の暮らし もうすぐ半世紀
 抱えきれない花束に似る(ソーラー泰子)

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ハワイの花

 10月3日《妙法寺》演奏&ワークショップ  着物は単衣の盛装で、9時半ロビー集合。
 かずみさん、新名さん、いくこさんの車で妙法寺へ。10時半開場に向けて、着々と準備。その間にも続々とお客さまが入られ、広いホールはいっぱいに。
 11時開演。司会進行はジョンさん、野崎先生のお二人。在住日本人のお客様もあり、日本語も通じますが、英語と日本語の両方で楽しく場をつないでいきます。

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司会のジョンさん、野崎先生
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八千代獅子を舞う山田梨紗子さん


 なかでも圧巻は、祐子先生の三絃と山村先生、山田梨紗子さんの地歌舞で、日本出国のとき、荷物検査で重量オーバーになったという、裾まわりに綿のたっぷり入った豪華なおひきずりの着物。しっとりとした舞と艶やかな三絃の音色に、お客さまのみならず傍らにいた鷲さんの目にも熱い涙。
 「月に寄せる日本のうた」では、一緒に口ずさんでくださったり、炭坑節に合わせて手を動かしたり。ここでも演奏会終了後にワークショップ、大勢の方に楽器に触れていただきました。

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妙法寺でのワークショップ

 ご自分の爪を持参の高校生くらいの男の子が、「3年ほど練習しているが、十七絃は弾いたことがないので体験したい」と、私たちが先ほど演奏したばかりの「夢はマーチにのって」に果敢に挑戦。せっかくなのでと、祐子先生が箏と合奏、最後まで弾き切りました。男の子は、お父様が日本人、お母様はアフリカ出身。日本語も堪能で「明日は何処で演奏されますか」と聞かれ、「クアキニ病院ですよ」と答えると、「聴きに行きます」と言って、かわいい妹さんと一緒に帰っていきました。
異国の地での暖かなふれあいを、とても嬉しく思いました。
 その後はスタッフとして手伝ってくださった方々との交流昼食会。何と、から揚げ鮭弁当。光子さん手作りのチョコ餅や、ハワイので今流行のマラサダ(ふわふわもちもち食感の揚げパン)も用意され、思い溢れるおもてなしに感激。

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妙法寺で手伝ってくださった皆さんと

 オペラ歌手の肩書きを持つ妙法寺ご住職は、「素晴らしい演奏をありがとう。また是非来てください」
と再会を約束。そして私たち一行は、翌日の演奏場所のクアキニ病院へ楽器の移動。
 10月4日、クアキニ病院コンサート、9時半開演。病院に併設のヘルスケアセンターには立派な舞台つきのホールがあり、壁には阿波踊りの絵が描かれていて、日本にいるような懐かしさ。長唄、舞踊に続いて、箏曲チームは「夢はマーチにのって」と新曲「愛と祈りの調べ」(アヴェ・マリア、ハレルヤ、アメイジング・グレイスなどのメドレー)を演奏。
 コンサート終了後、見送る私たちに「初めて聴きました。また聴かせてね」と手をとって微笑まれた方がいらっしゃいました。

 そして昨日、十七絃を弾いた彼も、きょうはお母様、妹さんと一緒に来て、祐子先生とカメラに。

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兄妹と母


 私は密かに、いつか十七絃を巧みに演奏する彼の姿に思いを巡らせていました。
三日連続のコンサート&ワークショップを無事に終了し、夜は全員で中華料理店にて打ち上げの祝杯。長唄の杵屋勝千華先生、舞の山村楽乃先生、家元祐子先生のご縁からの今回の企画には、私たちの前にハワイ入りされた杵屋先生の並々ならぬご尽力があったこと、さまざまな方々のお力添えがあって実現したこと、これに深く感謝申し上げ、再会を期待して、旅のご報告といたします。
 ハワイ~古くから言われているそのままの地上の楽園、ハワイアン・パラダイス・バンザイ!

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左端・栗山美智子さん

 

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