うたまくら - 正絃社

【343号】うたまくら 新刊「パンドラ」

新刊「パンドラ」  野村 祐子

 久しぶりの新作「パンドラ」がようやく発刊の運びとなりました。今年2月、現代邦楽作曲家連盟作品発表会(紀尾井ホール)にて初演の作品です。
この数年間の私の創作活動を振り返りますと、滋賀県米原市で開催の長栄座伝承会「むすひ」公演3年連続企画にて、各回とも20曲近くの曲から成る組曲「まいばらはつ」を発表しました。  
 また今夏は、倉敷市でのジュニア伝統芸能祭の20周年記念曲として、ご当地ソング的な「倉敷えーとこ巡り」を作詞作曲、楽しい作品ができました。大手を振って作曲家と名乗れるほどの分際ではございませんが、このような依頼をいただけることを深く感謝しております。

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現代邦楽作曲家連盟作品発表会にて「パンドラ」

 コロナ対策のなか、健康長寿と平和を願って新元号を冠した「令和福寿楽」に続き、今年も世界の平和を祈って、開けてはならない箱の代名詞「パンドラ」より、箱のなかに残された希望を皆様に届けたいと思います。
 作曲と指導と演奏は私の活動の三本柱です。
 楽しいお稽古の積み重ねが上達に繋がり、その成果の演奏発表は邦楽の普及に役立つ。観客に感動を与えるよい演奏ができるよう、よい曲を選び練習する。どんな曲がよいかは・・・。
 お稽古が楽しい曲、知識教養を広げる曲、話題性のある曲、挑戦したくなる曲、親しみやすい曲、それに何と言っても感動のある曲です。
 父はこういった曲を多く残してくれましたので、お稽古の曲には困りませんし、私も父のような作曲を心がけてきました。
 箏曲復興の祖・宮城道雄先生の研究家として知られた故・中井猛先生は「曲は、まず旋律が大切、宮城道雄先生の作曲は旋律がよいのです。」と常々仰っておられましたが、野村正峰作品でことに文学的な題材の「葡萄の樹のかげ」や「眠れる春」などを愛好してくださいました。ところが意外な曲を、「旋律がとても可愛くロンド形式で整ったよい曲だ。」と高く評されていました。さて、何の曲でしょう? ヒントは箏二重奏、ピンクの楽譜です。答えは次回に。

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2002年春の公演にて胡弓を弾く中井猛先生

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