【342号】うたまくら 出会いの喜び 演奏の楽しさ
出会いの喜び 演奏の楽しさ 野村祐子
コロナ禍からようやく解放され、いろいろな行事が再開されるようになりました。この間、遠慮しながら行っていた公演もこれからは堂々と開催することができ、皆で集まる喜び、人との出会いの楽しさが甦ってまいります。
ふと気がつくと、今年ももう前半が過ぎる年月のはやさ・・・、正絃社幹部会本部新年会、東北・白石市「碧水園」能楽堂でのミニコンサート、愛知芸術文化協会30周年記念美術展交流イベント、日本三曲協会春季三曲名流演奏会、「浄瑠璃物語絵巻」、「幻想平家物語」公演など、私が関わる行事だけでも様々な出会いがあり、多くの刺激がありました。それを一言で言い表すと「演奏は楽しい」。
また、いろいろな分野の方々との交流で感じることは、人間にはお互いの気持ちを伝えあう手段があるということです。言葉や動作、それは次第に単なる伝達手段から高められ、研ぎ澄まされて芸術の域に高められてきました。芸術のひとつである音楽の楽しさを味わい、喜びに生きることは何と幸せな人生でしょうか。そうした中で、私が大切にしたいと思うことは、「演奏の魅力」です。
西洋音楽の基礎では、〈メロディ・リズム・ハーモニー〉が音楽の三要素ですが、邦楽に置き換えると、〈旋律・間合い・音色〉のほうが似合います。旋律を豊かに歌う箏の演奏技術、適切な緊張感で引き締める間合い、一音を聴いただけで心を惹きつける音色、この三要素が揃った演奏を目指し、人の心に響く音楽を奏でたいと願っています。
さて5月には幹部会にて、後述のように部会別の研修会を行いました。ひとりひとりに目が行き届く少人数制で、成果ある研修ができたように思います。
実技のほか楽理講習では短い時間で言い尽くせませんが、皆さんが箏の基礎知識を身につけ、理論を実技に生かせるよう、勉強を続けていただきたいと思います。日本の伝統音楽の持ち味、日本の音階の特色などを知っていただきたいと思います。
現在、小学校、中学校など義務教育では、日本の伝統楽器が教材に取り上げられていますので、学校関係などから私たちに邦楽の紹介を求められる機会が多くなっています。こうしたときに演奏の実践とともに、邦楽の歴史や音階の特色などの説明ができるよう、せひとも幅広い知識を身につけていただきたいと思います。
世界のどこかでは、たった今も戦争や飢餓、多くの災難で苦しんでいる人がいる悲しい現実があります。私たちが平和に暮らせる毎日の有難さに感謝するばかりです。少しでも心安らぐ社会になるよう願って、演奏を磨いていきたいと思います。
長栄座伝承会「むすひ」
~東西を結び、刻をむすび、乾坤を結ぶ~
日 時 令和5年8月5・6日(土・日)
各日午後2時開演(開場30分前)
会 場 滋賀県立文化産業交流会館 イベントホール内特設舞台
芝居小屋「長栄座」
「長栄座」は明治16年に滋賀県長浜市に創建された芝居小屋。滋賀県立文化産業交流会館では、伝統文化を次世代に受け継ぐため「長栄座」の復活事業を展開して、二日間の公演を開催。(詳細は後述)
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